其の参(留三郎視点) ページ4
「留三郎……?おーい、留三郎クン??」
俺が何も返答しないから、Aが心配して少し覗き込む。
「……お前の手は冷たいな。こんな所まで連れ出して悪かった。部屋に戻ろう」
「…? うん」
絡めたら手をそのまま引っ張って立たせ、足場が悪いことをいいことに、手を貸す体で繋いで歩いた。
危なかった…!
Aが俺の顔を覗き込んだ時、そのまま顎を掬って口付けしたくなった。欲求を抑え込めた自分を褒めてやりたい。
Aのことを好いているかどうかは自分でも分からない。ただ俺が欲求不満で、手の届く距離に女がいて、口付けても怒らなそうな奴だっていう条件が揃っていただけかもしれない。
だとすると、Aはいつ誰に襲われたっておかしくはないという事になる。同室ありの全寮制の忍たまなんて欲求不満な奴しかいないから、“掃き溜めに鶴”状態だ。
Aが不当に襲われることがないよう、注意しておかないとな。
◆
「「くっっっさ!!」」
自室の戸を引いた時、Aと俺の声が揃った。
そうだった。今部屋では伊作が薬を煎じているんだった。
「やあ、A。留三郎と一緒だったんだね。
ごめんね、ちょっと匂いがキツイかもしれないけど、入って」
「わざわざ護衛当番の日にやらんでもいいだろ…」
「明日持って行く分が足りなくてね。外は少し風があって薬作りには向かないし、医務室は富松が寝ているし」
「「作兵衛が?」」
「あはは、お前達息ピッタリだね。風邪引いたんだよ」
「そうか。なら少し様子見てくる」
「あ、私も行く!」
何故かAも行きたいと言うので、一緒に医務室へと向かう。今日の保険委員会の当番は三反田数馬のようだ。
「あれ。食満先輩にAさん」
「当番お疲れ様、数馬君」
作兵衛は俺達の名前を聞いて上体を起こした。枕元へ腰を下ろすと、作兵衛を再び布団へ戻した。
「いい、寝とけ。さっき伊作から聞いたんだ、お前が風邪引いたって」
「わざわざすいません、大した事はねえんですが…」
「五日間は委員会に出なくていいからな。気にせずしっかり養生しろよ」
「はい……。Aさんまで来て頂いて…」
「気にしないで。ねえ、今晩は私が作兵衛の部屋で寝ようか?」
「「「はぁ!?」」」
いきなりの謎提案に俺、作兵衛、三反田の声が揃う。
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玉虫厨子(プロフ) - 澄香さん» コメントありがとうございます!需要あってよかったです!! (5月8日 6時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - いけいけどんどん!!!出茂鹿之介の需要ありまくりです!!!! (5月8日 1時) (レス) @page50 id: b225fd04a2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あもさん» ありがとうございます💓 (12月18日 9時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ヤバい/// 出茂鹿・・・好きッ♡♡♡♡♡♡♡♡ (12月18日 8時) (レス) @page48 id: 769dab171c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (9月4日 4時) (レス) @page50 id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年8月21日 7時