検索窓
今日:49 hit、昨日:81 hit、合計:27,585 hit

其の参 ページ29

夜中、右腕に妙な違和感を覚えて目が覚める。左手で右手を確認しようとして別のものに触れた。

タカ丸君が私の右手を取って口付けていたのだ。私の左手はタカ丸君の頭に触れたようだ。


「ごめんね、起こしちゃった?」


「な、何やってるの!?」


「しー。竹谷くんが目を覚ましちゃう」


そう言うとまた腕に唇を落とす。それが何度も繰り返し、強弱をつけたり、軽く吸われたり、緩急があって思わず後ろへ身を捩る。

すると私の左肘は八左ヱ門の身体に当たった。


「何してるんですか」


背後から怒気を孕んだ声がして、背筋が凍りついた。こんなに恐ろしいのにタカ丸君は意に介さず、右手に指を絡めた。


「Aちゃんからの接吻を意味のないものにされてしまったから、僕がAちゃんの腕に意味のある接吻をしているんだよ。
ねえ、Aちゃん。今どんな感じか竹谷くんに教えてあげて?」


少し湿った唇が押し当てられ、ちゅっと控えめな音を立てて離れる。


「ひっ、擽ったい…」


びくりと肩を揺らすと、それが合図かのように左耳に八左ヱ門の唇が近づいた。


「すぐ横に俺がいるのに、タカ丸さんの接吻で感じてるのか」


「ひぁっ!?か、感じてないです!」


「嘘つけ、身体を捩ってるだろ」


「待っ、耳はダメッ!」


左手で左耳を塞ぐが、八左ヱ門の強い力で退けられる。


「塞ぐな。俺は真剣に訊いてるんだぞ」


「へーえ、Aちゃんってば耳が弱いんだ?」


右耳にタカ丸君が息を吹きかけてくる。


「なあ。俺の事は無視か?」


「無視してないからぁ!とりあえず二人とも、耳はやめてよぉ!」


「俺だって男だ。すぐ隣でそういう事始められて黙ってられるほど優しくないぞ」


まるで獣のように耳朶に噛み付く。


「や、だめっ…それ以上したら体育委員会呼ぶよ!?」


はたと二人の動きが止まる。やっぱり小平太のことは恐ろしいんだなぁ。
これでゆっくり寝られると思ったのも束の間、何者かにより戸が素早く開かれた。


「お呼びですかッ!!」


聞こえてしまったのだ、隣室の滝夜叉丸君に。八左ヱ門の顔はまだ私の耳に近く、タカ丸君は指を絡めていて、ばっちり現行犯となってしまった。


「お…お二人とも何してるんですか!?この事は、先輩に報告させて頂きますからねッ!!」


翌朝、小平太にこってり絞られる二人が目撃されたらしい。でも自業自得だからね!

仙蔵の化粧技術の段→←其の弍(八左ヱ門視点)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
70人がお気に入り
設定タグ:忍たま乱太郎 , RKRN , 落乱   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

玉虫厨子(プロフ) - 澄香さん» コメントありがとうございます!需要あってよかったです!! (5月8日 6時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
澄香 - いけいけどんどん!!!出茂鹿之介の需要ありまくりです!!!! (5月8日 1時) (レス) @page50 id: b225fd04a2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あもさん» ありがとうございます💓 (12月18日 9時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ヤバい/// 出茂鹿・・・好きッ♡♡♡♡♡♡♡♡ (12月18日 8時) (レス) @page48 id: 769dab171c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - あーちゃんさん» ありがとうございます! (9月4日 4時) (レス) @page50 id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年8月21日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。