【忍たま】君の想いは花筏【共通話５】 (ページ27)

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竹谷と斉藤の夜間護衛の段（八左ヱ門視点）ページ27

「タカ丸さん、竹谷八左ヱ門です」

声を掛けると内側から戸が開く。

「やあ、待ってたよ」

タカ丸さんの部屋に自分の布団を運び込む。
三郎と雷蔵の夜間護衛がなくなり、繰り上がりで俺とタカ丸さんの番が回って来たのだ。

「Aの布団はタカ丸さんが運んで下さったんですか？」

「ううん、鉢屋くんが運んで来たよ」

「そうなんですか」

Aと三郎が仲直りしたと勘右衛門から聞いた。それは良かったけど、前より遥かに仲良さそうだったと聞いて新勢力の勃興を懸念しているところだ。

「ところで竹谷くん……僕、ずっと気になっていた事があるんだけど」

突然真剣な顔をして話し始めるタカ丸さんに居住まいを正す。

「な、何ですか…」

「その髪、トリートメントさせてええ！！」

「んぎゃああ〜！？」

布団の上でうつ伏せにさせられ、その上にタカ丸さんが馬乗りになって俺の髪に何か塗ったくっている。

「タカ丸君いますか〜」

「あ、Aちゃんいらっしゃい！今ちょっと手が離せないから勝手にどうぞ〜」

「お邪魔しま……え！？」

「A〜〜助けてくれぇえ〜」

「何してるの！？」

◆

しばらくのち、俺のボサボサ髪はとんでもなく指通りが滑らかなサラツヤストレートへと大変貌を遂げた。

「わあ、すっごい！立花くんにも引けを取らないサラストヘアの完成〜！」

「ううっ…あんまりだぁ」

「どうしてそんな落ち込んでるの？」

Aは物珍しそうに俺の髪を撫でている。

「だって、俺の髪は虫──」

【虫が棲みやすいように引っかかりがある方が都合がいい】と言おうとしてふと思い出した。
Aは虫が苦手だと兵助が言っていた。髪に虫を棲まわせて越冬させると知ったら嫌われると三郎も言っていた。

「虫？」

「いや…虫達が俺の事を髪で認識してたら困るなって…」

「へえ…」

ダメだ、虫の話をしただけでちょっと引いてる…。
取り敢えず髪の事はおいおい考えよう。幸い今は夏だし、越冬の心配は今しばらくはしなくてもいい。
蝉をくっつけられないのは残念極まりないけど！

「さてさて、Aちゃんと竹谷くんの布団も敷けたよ〜」

「ありがとう！」

「わ、俺のまですみません！」

Aの布団が真ん中で、隙間なく敷かれている。全員川の字になって寝転んだ。

「いいよ〜。もし同室がいたらその人の分の布団も時々敷いてあげたりするのかなーって思ったら、敷きたくなっちゃった」