【忍たま】君の想いは花筏【共通話５】

其の参（雷蔵視点） ページ26

放課後、図書室の僕のところに兵助と勘右衛門がやって来た。


「雷蔵、今出られる？」


「え、今は……」


中在家先輩の方を見ると、静かに頷いて許可を下さった。


「委員会中ごめんな、ちょっと気になる事があって。夜間護衛の件はどうなった？」


「僕達の番はなくなって、今日は八左ヱ門とタカ丸さんだって中在家先輩にお聞きしたけど…」


「やっぱりかぁ。俺達立花先輩の詰問を受けて、三郎の事喋っちゃったんだ。Aが今日の夜間護衛を取り止めて欲しいって善法寺先輩に話したらしく、知っている事を教えて欲しいって言われて」


「仲間を売るような真似しちゃったし、三郎に謝りたいんだけど、今日は一度も見かけなくて…」


「三郎は休み時間はすぐどこかに出掛けて、鐘と同時に帰って来てたから僕も話す機会がなくって。放課後もすぐ教室から出て行って…。今は一人になりたいのかも」


「Aが三郎の事探してるんだ。反省して謝りたいって…」


「やっぱり。僕にも放課後に三郎に会うって言ってた。Aちゃんは何も悪い事していないから謝る必要はないのに…」


「まあ、そうなんだけどさ。三郎の行きそうなところは全部当たったんだけど、雷蔵なら何か知ってるかなって」


「うーん…参ったなぁ…三郎がどこにいるかなんて僕にもさっぱり…」


考えあぐねていると、遠くから僕の名を呼ぶ声がする。


「おーい、雷蔵ー」


「さ、三郎とAちゃん！？」


三郎はAちゃんを負ぶって歩いてくる。Aちゃんは僕達に向けて手を振っていて、二人共顔は穏やかだ。


「Aが古い落とし穴に落ちてしまって、腰を打ったんだ」


「「「ええっ、落とし穴！？」」」


Aちゃんにとって落とし穴は厳禁。しかし幸運なことに時間移動は起きなかったようだ。


「無事で良かった。それより二人共、分かり合えたみたいだね？」


「私達、仲直りしたの！」


「んもー、人騒がせなんだから！」


「はは、すまんすまん！」


屈託のない顔で笑い飛ばす。
三郎のこんなにすっきりした顔は何だかしばらく見てなかったような気がする。本当に良かった。

でも三郎のせいで夜間護衛はなくなってしまったけど。
夜にゆっくりと未来の本について聞いてみようと思ってたのになぁ。

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