【忍たま】君の想いは花筏【共通話５】 (ページ15)

今日:17 hit、昨日:55 hit、合計:27,608 hit

其の弍（勘右衛門視点）ページ15

「お待たせしました、みたらし団子二人前です」

お伝ちゃんは、俺達の間に妙に空いた隙間に皿と湯呑みを置いた。

「それでは、ごゆっくり…」

裏に下がろうとする覇気のないお伝ちゃんを放ってはおけず、手首をそっと掴む。

「いつもと様子が違うけどどしたの？何かあった？」

「い、いえ、別に…」

「……私、お手洗いに行ってきますね」

Aは気を遣ってか、席を外してしまった。

「……勘右衛門さん、あの人はどなたですか？」

「えっ…居候のAだけど」

「あの人とお付き合いしてるんですか」

「付き合ってちゃ悪い？」

酷く傷付いたような顔をした後、懇願するように俺の手を掴む。

「…あの女の人は物の怪の類です！悪い事は言いません、今すぐ離れて下さい！」

「はぁ？物の怪？ちょっと何言ってんの？」

「じゃないと勘右衛門さんまで連れて行かれてしまう…！！そんなの嫌です！！」

Aが、物の怪…！？
確かにAは忍術学園に突如として現れた摩訶不思議な存在だけど…いやいや、ただの未来人で物の怪なんかではない。

「待ってお伝ちゃん、落ち着いて。Aの事知ってるの…！？」

「私、少し前から勘右衛門さんの事、お慕いしておりました。でも、あの人が私の事を妬ましく思って奪いに来たんだわ…！」

え、今俺告白された！？
話が突飛過ぎて喜ぶ暇もないんだけど！質問の回答も得られてないし。

この場をどう収めようかと考えていると、Aが戻って来た。

「お伝さん、すみませんがお話聞かせて頂きました。私は尾浜さんとは男女の仲ではありません。奪ったりもしませんのでご安心下さい。
それから、物の怪などではなく、ただの人間ですので…」

「私の事を知らないのが物の怪だって証拠よ！私の旧友の面を被って！旧友の名を騙(かた)るのはやめてちょうだい！」

憤慨するお伝ちゃんと、困惑するA。

「あなたは私の事を知っているのですか？友人だったのですか？」

「この期に及んで自分をAだと偽るの！？それとも何？記憶喪失にでもなって私達の前から姿を消したって言うの！？それで今になって私の思い人を引き連れて、私の前に現れるなんてそんな偶然ある！？」

「……私は遠い所から来ました。恐らく人違いです」

「ああそう！じゃあ勘右衛門さんから離れて！私達の前から消えて！」