【忍たま】君の想いは花筏【共通話５】 (ページ14)

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物の怪？の段（勘右衛門視点）ページ14

Aの綺麗だと言った白と銀糸の髪紐を買った。
するとAはにっこりと微笑んで、俺の左腕に手を添えて

「ありがとう、勘右衛門さん」

と言った。

A恋人のフリをしてって言ったのは俺なんだけど、分かってても一瞬動揺してしまった。

「あ、ああ！そうだ、団子屋でも行って休憩しようか？」

「そうね！そうしましょう」

店を出てもAの手は俺の前腕に添えられたままだ。指は細くて白くてしなやかで、触れられたところが何だかむず痒くなるような、初めての感覚を味わった。

「A、恋人のフリ上手いね〜。勘ちゃんびっくり」

「いやいや、勘ちゃんの方がそれっぽかったよ。肩がぶつかった時はちょっとドキドキしちゃった」

ドキドキ！？Aが俺に！？今日もしかして本当に接吻いけちゃうかも！？

「──ああ、それでさっき俺のことじっと見てたの？」

耳元でなるべく低い声で囁くと、耳を押さえて猫のように飛び上がる。

「どうした？」

「な、何でもない！ほら、早く団子屋行こうっ！」

Aに手を引かれ、茶店へと入る。

「いらっしゃ──……！？」

茶屋の娘は俺達の姿を見て固まって、盆を落とした。その盆を拾って差し出すと、動揺しながらも受け取った。

「勘右衛門…さん…」

「久しぶりお伝ちゃん！どうしたの？」

「い、いえ！どうぞお掛けになって下さい」

お伝ちゃんは俺がたまに食べに来るこの団子屋の看板娘。溌剌として老若男女に人気のある子なんだけど、どうしたんだろ？

「さっきはすみません…ご注文は？」

「いえいえ、みたらし団子二つで！」

「はい、お待ち下さい」

パタパタと奥へ下がった時、Aが訊ねた。

「知り合い？」

「うん、俺ここの団子屋に時々来るからさ。でももっと元気な子なんだけど、どうしたのかな」

「もしかしてあの反応…」

「何か分かったの？」

「…まあ…恐らく」

「え、Aはここ来たことあるの？」

「ううん、ない」

何かの可能性に行き着いたみたいだけど、口籠ってしまった。それにしても初来店のAが気付いて常連の俺が気付かないってどういう事！？
Aが小袖の裾を直すために立ち上がり、再び座る時に俺達の間に一人分の隙間を空けて座った。

何だか急によそよそしくなってない？