其の伍 ページ9
「ここまで来たら協力するよ。その代わり、適齢期の竹谷が居なければ引き続き僕がAちゃんを奥さんに貰う気でいるからね」
「うん！」
「ふう…話したら気が楽になったな。再会祝いで小平太呼んで宴会でも開く？食材もたんまりある事だし、おじさんおばさんも今日はまだ帰らないし」
「おいおい、俺はまだ仕事中だぞ」
「体調不良ってことにしてこのまま早退すれば？」
「バカ言え、教師が金曜夕方の両親出張中の女子生徒の家に行ったきり戻らねえってどう考えたって体裁悪過ぎるだろ！」
「僕もお酒飲みたいけどバイクで来てますし、仕切り直しですねぇ」
「お前その顔で成人してんのか？」
「どういう意味ですか？19ですけど」
「未成年じゃねえかバカタレ！！」
それからの私は偏差値を10上げる為、日々勉強に徹した。文次郎君もかなり協力的で、日本史以外も丁寧に教えてくれた。
【忍術学園】というグループLINEが作られ、元忍たまを見つけたら各自このグループに招待しようということになった。すぐに小平太も加わって5人になった。
八左ヱ門の情報もあれば流してくれるらしい。
明確な志望動機も見つかり、伊作君が家庭教師してくれたこともあり、2年後私は難関私立大学の薬学部に合格した。
八左ヱ門が生まれ変わっているかどうかすらも分からないけれど、私を想って植えた木があるというだけでこの大学に来た価値はある！
入学式やオリエンテーリングを終え、履修登録をしてすぐに構内のAの木のある場所にやって来た。
「……これが、Aの木」
農学部の研究棟の前に立派なクヌギの木が静かに佇んでいた。木の横には看板が建てられていて、詳細が説明されていた。
『室町時代、愛した女をやむなく殺害した男がこの地にクヌギの苗を植え、供養したと伝わる。』という一文を見つけ、涙が込み上げた。
「八左ヱ門。あなたが遺したものを一つ見つけたよ。たくさんの人達が何百年も大事に保存してくれてたお陰だね…」
Aの木と忍術学園のあった辺りを丘の上から写真に収めて、グループLINEに流した。皆社会人だからすぐに既読は付かないけれど、きっと夜にはグループ内が賑やかになるだろう。
もしかしたらこの木の近くに八左ヱ門の魂が居るかもしれないと思うと、自然と笑みが溢れる。
講義棟からそんなに遠くもないし、これから毎日ここに来よう。
「また明日も来るからね、八左ヱ門！」
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玉虫厨子(プロフ) - ゆずぎょうざさん» 拙作で泣いて頂きありがとうございます！竹谷ルートはシリアス多めでしたね、、ご心配をお掛けしました😂潮江ルートの方もどうぞ宜しくお願いいたします🙇✨ (4月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぎょうざ - 完結お疲れ様です！とても感動して泣いちゃいました！途中シリアスで最後までハラハラしていましたがハッピーエンドで良かったです😭潮江ルートを今から読みます！これからも頑張ってください🙇 (4月21日 7時) (レス) id: 03a920b2e2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» 応援ありがとうございます！竹谷ルート楽しんで頂けて良かったです✨潮江ルートも読んで頂けるとのことなのでより一層頑張りますね！ (4月19日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 竹谷ルート完結お疲れ様でした！ 本編に続き竹谷ルートのお話も素敵ですごく魅力されました！次の潮江ルートも楽しみに読ませて頂きますね、これからも応援しています！ (4月19日 7時) (レス) id: 08d8a5b782 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» ありがとうございます！不安にさせてしまいすみませんでした🙇シリアス書くの楽しかったのでまた不安にさせてしまうかもしれませんが次作も宜しくお願いいたします！ (4月8日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年3月28日 9時
