前世の話の段（タカ丸視点） ページ24
「竹谷君、控え室に戻るまでの道中、Aちゃんと二人で話したいんだけどいいかな？久しぶりに会ったから積もる話もあって」
「えっ…はい、まあ」
図書カードを返させてAちゃんと先に講義室へ向かう。
竹谷君に前世の記憶が無いと知って、最初は本当にAちゃんにアタックするつもりでいた。だけど時折切なげに竹谷君を盗み見るAちゃんと、記憶は無いけど何かしら好意は持っていそうな竹谷君を見ていたら応援したくなっちゃったんだよね。
「令和のAちゃんは素直じゃないね」
「え、そうかな？」
「肩抱き寄せられた時嬉しかったんでしょ？なのにそっぽ向いちゃってさ。竹谷君が過去の事を忘れてるから不貞腐れてるの？」
「……そう、かもしれないし、そうじゃないかもしれない」
「竹谷君は記憶が無くてもAちゃんに惹かれてるみたいだけど、それじゃダメなの？」
「分からない。私もこのままいけば記憶のない八左ヱ門も好きになれると思う。でもそれで付き合ったりした後に私を殺した事を思い出せば、私の顔を見る度にフラッシュバックして一緒に居るのが辛くなるんじゃないかなって……」
大袈裟かもしれないけど、もし一緒になったらいつ思い出すだろうと怯えて生きていかなきゃいけないのか。
「よく見知った人間が殺されるさまを見届けるなんて、八左ヱ門や居合わせた六年生にとっては相当ショッキングな光景だったと思うんだよね。それをさせてしまったのは私なんだけど…。
八左ヱ門が記憶を取り戻さないのは本人にとって忘れてしまいたい記憶だったからだと思う」
再び記憶を消し去ることは出来ない。だからこそ怖気付くのは分かる。けれど、上手くいく可能性もあるのにそれを試さずにいるのは後々後悔するんじゃないだろうか。
僕だったら、両想いの男女が一緒になれない人生なんて嫌だけどなぁ。
僕は次の学科の撮影について行くため、また近々会おうという話をして講義室の前で別れた。そうしてAちゃんが講義室の中へ入っていった時、僕は後ろから声を掛けられた。
「あの。撮影が終わってから僕とも話をしてくれませんか」
竹谷君だった。
「んー。僕と君が何の話を？」
「お聞きしたい事があるんです。大学前に古い喫茶店があります。そこで待っていますから、来て下さい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉虫厨子(プロフ) - ゆずぎょうざさん» 拙作で泣いて頂きありがとうございます！竹谷ルートはシリアス多めでしたね、、ご心配をお掛けしました😂潮江ルートの方もどうぞ宜しくお願いいたします🙇✨ (4月21日 8時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
ゆずぎょうざ - 完結お疲れ様です！とても感動して泣いちゃいました！途中シリアスで最後までハラハラしていましたがハッピーエンドで良かったです😭潮江ルートを今から読みます！これからも頑張ってください🙇 (4月21日 7時) (レス) id: 03a920b2e2 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» 応援ありがとうございます！竹谷ルート楽しんで頂けて良かったです✨潮江ルートも読んで頂けるとのことなのでより一層頑張りますね！ (4月19日 8時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 竹谷ルート完結お疲れ様でした！ 本編に続き竹谷ルートのお話も素敵ですごく魅力されました！次の潮江ルートも楽しみに読ませて頂きますね、これからも応援しています！ (4月19日 7時) (レス) id: 08d8a5b782 (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» ありがとうございます！不安にさせてしまいすみませんでした🙇シリアス書くの楽しかったのでまた不安にさせてしまうかもしれませんが次作も宜しくお願いいたします！ (4月8日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年3月28日 9時
