其の弐 ページ50
「伊助、静かに。皆にAさんが居たことがばれてしまう」
「あ、ごめん…Aさんの砂汚れが凄くてつい」
「そっち?」
本人に盗み聞きされてたからびっくりした訳じゃないらしい。
伊助君は厳しい表情で私に忠告をした。
「Aさん、今更ですが姿を隠すのに一年長屋の縁側の下はおすすめしません。御器嚙がいるので」
「へっ?ごめん聞き取れなかった」
「
ごきかぶりって何!?もしかしてもしかするとイニシャルGのあいつですか!?
ゾワゾワと背中が粟立った。
「ひいぃいいやああぁああ!!!」
「Aさん落ち着いて、大丈夫ですから!奴らは臆病ですから人が来たら逃げますよ」
「そうかな!!そうだといいな!!」
「でも潜り込んだら糞で汚れるから…」
「んん"あ"あ"!!!」
「不安を煽るのはやめなよ伊助…。ところでAさん、一年長屋に何か御用でしたか?」
「話の前に一回着替えてきていいですか!?」
そんな話聞いた後じゃ気持ち悪くて着てらんないや!しかも今から料理するし、清潔なものを着ないとね!!
昨日は八左ヱ門のお気に入りの黄色の小袖を着たので、今日は利吉さんに頂いた私のお気に入りの小袖を着ることにした。
「Aさん、お帰りなさい」
「ただいま。ええっと、どうして一年長屋にいるかだったっけ。虎若君に用事があったからだよ」
「虎若の部屋ならこちらです」
「僕もついて行っていいですか?そろそろ抜き打ちチェックしないと」
「もちろん、いいよ」
伊助君、何のチェックをするんだろう。
「虎若君、Aだけどいますか?」
声を掛けるとハイッ!というキビキビした返答の後、すぐに戸が開いた。
「Aさん!…と伊助!?」
伊助君に気がついた途端、部屋から出てピシャリと戸を締めてしまった。
その際に見えてしまった。散らかり放題の部屋の惨状が……。
「あ、例のブツですよね!?食堂までお運びしましょうか!?」
「うん。でもその前に、部屋が結構散らかっていたみたいだけど?」
「ああ〜…はい、すいません。明日片付けますね…」
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー!一気読みありがとうございます! 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました!どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる!笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです! (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです!どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます! (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも!!めちゃおもろいです! (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2024年2月2日 21時