剣術指南の段（八左ヱ門視点） ページ47
翌早朝、五年長屋の皆が寝静まっている仄暗い中で起床する。生物達の世話の為ではない。手にする武器は慣れ親しんだ微塵ではなく、これまで実技でしか使ってこなかった忍刀だ。
早朝は随分と涼しさを感じるようになってきた。いつもの水場ではなく、より冷たい山の湧水で顔を洗えばきりりと身が引き締まる。薄暗さといい、静けさといい、心を鎮めるのにもってこいの時間帯だ。
「今日も早いな」
「先生こそ、予定の刻限よりもお早いではありませんか」
Aの殺害方法が斬首に決まり、俺は戸部先生の元を尋ねた。事情を話しても戸部先生は驚かれず、ただ残念そうに“そうか”と呟かれた。この件に関して他の先生方も口を出して来られないところを見ると、恐らく学園長先生から先生方へ速やかに通達があったのだろう。
「始めよう」
「宜しくお願いします！」
可能な限りAへの苦痛を減らし、極めて短時間で死に至らしめる為、早朝に指導を受ける事になり早七日。狙った場所へ狙った角度で刃を入れる鍛錬を積んでいるが、まだ精度は高いとは言えない。Aの為にももっと剣の腕を磨かなければ。
もし、殺せなければ？緊張のあまり足が竦んで傷が浅くなってしまったら？夕べはそんな事ばかり考えてしまった。
「竹谷、雑念を払え！切先がぶれているぞ！」
「っすみません！」
「今一番大切な事は何だ！」
「Aに無駄な苦しみを与えないよう、一太刀で息を引き取れるように剣の精度を上げる事です！」
「そうだ。残り三日、お前が無心で取り組めば彼女は必ず理想的な死を遂げられる！余計な事まで考えてしまうのなら、考えずに済むよう動きを身体に覚え込ませろ！」
「はい！！」
「剣術指南中失礼します」
声のする方を向くと、立花先輩と伊作先輩が骨格標本を手に立っていた。この場所で指南を受けている事は誰にも伝えていないのに。
すると俺が訝しんだのを先輩方が察知し、事情を説明してくださった。
「保健委員長としてどのような斬り方を想定しているのか知っておきたくてね」
「同じく作法委員長として。邪魔して悪いな」
「二人から相談を受けて私がこの場に呼んだのだ。尤も、竹谷との約束の時間より前に設定していたんだが」
そうか。俺が早く来すぎたから…。
伊作先輩は人体の構造にお詳しいし、立花先輩は言うなれば死後の首の扱いの専門家だ。
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
