其の参（孫兵視点） ページ37
家の中を覗いてみたが、やはり誰もいない。
「お留守でしょうか？」
「そうみたいだ。畑で虫取りさせて貰いながら待とう」
「知り合いみたいだけど、勝手に畑に入っちゃって大丈夫なの？」
「ええ、きっと大丈夫ですよ。
口の閉まる大きめの麻袋を持って来たから各自捕まえたらこの中に入れていこう。はい、Aさんも網を持って」
「これ、孫兵君の網じゃないの？」
やや申し訳なさそうに手渡した網をこちらへ差し出すAさん。あなたそれ無しでどうやって捕まえようとしているんです？
「僕は別にあっても無くても大丈夫なので。Aさん手掴みで捕まえられるんですか？」
するとヒエッと小さく悲鳴を上げて虫取り網を持った手を引っ込めた。
「ありがたくお借りします！！！！」
「はい。それじゃ、虫取り開始！！」
「「「「おお〜っ！！」」」」
今年はイナゴが本当に多い。そんな年はイナゴの主食である稲が被害を受けて米の収穫量が減ってしまうから人間が積極的に捕獲して食べていかないと。
僕達生物委員会が次々と捕獲して麻袋に入れていく中、乱太郎は密かに絵を描きだした。当のAさんは地面に虫取り網を振り下ろして捕獲したのはいいものの、それを素手で捕まえて麻袋に入れるという行程にかなり戸惑っている。網に手を伸ばしては引っ込める、という作業を繰り返している。
「あ、捕まえられました？」
虎若がそれに気付いてAさんに駆け寄る。
「うん、ようやく一匹！これをあの袋の中に入れるんだよね…！」
「はい！掴んだらさっさと入れてしまった方がいいですよ、顔の前に手をやると噛むことがあるので！」
「エッ！？噛む！？イナゴが！？」
「噛みます！イネ科の硬い葉を噛みちぎるのに立派な顎が付いているんですよ。流血しちゃうし結構痛いので気をつけて下さい！」
あー、要らない知恵を授けたな虎若め…。
しかしAさんはめげなかった。
「こんなところでへこたれてちゃ美味しいイナゴ料理は作れない！」
「はい！頑張って下さい！！」
「私は！皆に！お礼をするんだーっ！！！」
Aさんは勢いで網の隙間から手を入れてイナゴを掴んだ。
「アー！アーーーッ！！！」
そして麻袋に腕を突っ込んで無事入れることができた。既に何匹か入っている袋の中のイナゴが飛び立とうとバタバタと音を立てたのでAさんはまた絶叫した。
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
