【忍たま】君の想いは花筏【竹谷八左ヱ門ルート２】

其の弐 ページ34

「豆腐料理かあ。兵助は豆腐を作るのも料理するのも好きだもんね」


豆腐料理にしたら兵助はとっても喜んでくれそう。でも、兵助がしょっちゅう周囲に振る舞っているから五年生にとっては特別感は無さそうだ。
他に何かあるかな。何なら喜んでくれるかな…。そういえば八左ヱ門の好物って何だろう？


「八左ヱ門なら虫だよ」


「え？」


「虫料理。今の時期ならイナゴ料理かな」


「待って、私一言も八左ヱ門の名前出してないけど」


「見てたら分かるよ、八左ヱ門のこと考えてるんだろうなあって。妬けるよ、本当」


「兵助…」


「八左ヱ門は馬鹿だよ、こんなに想ってくれてるAを帰しちゃうなんてさ。俺だったら絶対に手放さない。
でも、Aのこと本気で愛してないと出来ないことだ。Aの帰るという判断も。お互いを想い過ぎると離れ離れになってしまうなんて皮肉だよな……ってごめん！つい余計なことを…」


「ううん！私、八左ヱ門と結婚するから！」


「え！？」


「二人が死んだ後にね！五百年くらい後かなあ？だから、少しくらい寂しくったって我慢するよ」


兵助は呆気に取られてきょとんとしてしまった。突飛な話に聞こえるかな。だけど私は大真面目にそうするつもりでいる。


「ははっ、敵わないなあ！いつか死ぬのが待ち遠しくなりそうだね」


「ふふっ、死んだ後に楽しみが待ってるって恵まれてて幸せだよね！兵助のお陰で素敵なことに気付けちゃった」


「そりゃあ良かった。しまった、豆腐が傷んでしまう！そろそろ俺は勘右衛門探しに戻るよ！」


「うん、色々ありがとう！」


「その料理の件は他の人には内緒にしておくよ。それじゃ！」


内緒かあ。もし私がイナゴ料理を作って出したらびっくりするだろうなぁ！
でも、皆に振る舞うだけのイナゴって、一体何匹必要なんだ…？仮に参加者が五十人として、最低で五十匹……いやいや、一人一匹って食べた気しないでしょ。一人あたり三匹としたら、ひゃ、百五十匹……。


「……を、捕まえるのか？私が？」


そもそもイナゴってどこにいるの？山？川？ちゃんと食べ物として美味しいのかな？大量に捕まえるのは現実的じゃないかなぁ…

はっ！

こういう時こそ生物委員会に相談してみよう！難しいと言われたら潔く虫は諦めよう！！いや絶対難しいよね！？だって調理中に鍋から飛び去りそうじゃない！？ヒエエエ想像しただけで鳥肌がっ！！

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