其の肆 ページ26
思考がだんだんとはっきりしてくる中で幾つかの疑問がぐるぐると駆け巡る。此処はどこ？どうして私は喜八郎と二人でいるの？
「……ねえ、喜八郎……私、穴の中に居たよね」
「ええ。皆が動き出す前に起床して下さって助かりました。お陰で誰にも怪しまれず此処まで連れて来ることに成功しました」
「此処はどこなの？目的は？」
「裏裏山のもう一つ裏の山中です。目的はあなたを殺人鬼から護ることです」
それが誰のことなのかは聞かなくても分かった。
ピーヒョロロと鳶の鳴き声がして空を見上げた。その時初めて太陽が高い位置まで昇っていることに気がついた。私は随分長く眠っていたようだ。
「私はそんなこと望んでいない。お願い、一緒に忍術学園へ帰ろう？誰にも伝えていないなら皆心配しているよ……」
小屋の周囲はぐるりと一周、空堀が巡らせてある。幅と高さから少なくとも私は気軽に堀の外へは行けないと感じた。
「あなたは生きて未来へ帰れない。頸を斬られ、ただいたずらにその命を散らすのみだ」
「……え」
「──とまあ、そういう可能性もありますよね。寧ろ僕にはそちらの可能性の方が高いように思います。先輩方がどうして不確定要素を無視してあなたを殺そうとするのか、僕には理解が出来ません」
「確かに絶対ではない。時間移動の原理だってさっぱり分からない。けれど私はあの未来人の手記の信憑性は高いと思った。死ぬのは私が望んだことだよ」
「いいえ、望んでいなかった。あの会合中、僕はあなたをずっと見ていたから分かる。竹谷先輩が帰るべきとおっしゃった時のあなたの絶望する顔が今も脳裏に焼き付いて離れません」
「……誤解だよ。驚いただけ。今は本当に未来に帰りたいんだよ」
「例えば誰か忍たまが自死を遂げようとしていたとして、本人が望んでいるからとみすみす死なせるようなことしますか？」
「……しない。けどそれとは少し違うでしょ！私には帰るべき場所があるの！」
「
「そっ、そんな事ない！！私は決めたの！！私の意思で八左ヱ門の意見を尊重すると！！」
「時間移動なんて発動せず、あなたが屍になるだけの未来が訪れたらどう思いますか」
「どう思うも何も、死んだら後悔もしようがないしね」
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
