死後の約束の段 ページ21
「うん、膝上三寸くらいだね」
腰を捻るとスカートのプリーツがほんのり広がりながら動きについて来る。この感覚がとても懐かしい。
「男に襲われないか心配だな…」
って言いながら腕を組んで裾を凝視するの、ちょっと古風なお父さん感あって面白いな。
「ふふ。私達もうすぐ別れるんだからそんな心配しなくても」
「嫌いで別れる訳じゃない。むしろ大切だからこそ送り出すのに心配するのは当たり前だろう！」
「あれ？私の周りの人だけじゃなく私の事も考えてくれてたんだ」
「当然だろう！？昨日俺は確信した。言葉は悪いがこの時代を甘く見過ぎている。この時代にはAの思いもよらないような危険が多くある。俺が帰れと言わなくてもすぐ死ぬ。季節外れのカナブンのように」
そうか。私はこの時代の人からしたらまだまだ適応できてなかったんだ。
「俺の預かり知らぬところで心の準備もないまま五十年の時間移動をされるくらいなら、俺が責任を持って一発で戻してやる方が互いにいい。この役はAの事を一番に愛している俺にしか出来ないと思っている」
「……あー…何でそんな恋人みたいなこと言うかなぁ……」
八左ヱ門の胸に飛び込んだ。
どんなに帰れと言われたって私はこの人のことが愛おしくて仕方がなくて。嫌いになれないから辛い。
「恋人みたいじゃなく、恋人だろう？帰る日の朝まで恋仲でってAが言ったんじゃないか」
「じゃあ、じゃあ口吸いもしてくれるの？」
「してもいいなら俺はしたいよ」
「したい。私達、付き合ったばかりだよ。まだ全然し足りないんだから」
別れるの分かっているならこんな事、しない方がいいのに。好きだから求めてしまう。
八左ヱ門の舌と私の舌が絡み合って二人の境界が曖昧になる、この瞬間が堪らなく愛しい。
「八左ヱ門」
「ん…？」
「私、やっぱり離れるの寂しいから、未来へ帰ったら八左ヱ門のお墓を探す。供養するから待っててね」
「俺の墓？忍びだからなあ、そんなのは残らないんじゃないかな」
「それでも探すの。八左ヱ門がこの世にいた証を」
「じゃあ、Aが探しやすいようにこの辺で就職するよ。丹波、摂津、山城辺りで。それと伊賀もありだな。何も遺せなかったらごめんな」
「その時は忍術学園の跡地を探して他の皆と一緒くたに供養するよ」
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
