検索窓
今日:104 hit、昨日:18 hit、合計:8,067 hit

其の玖 ページ16

「皆、ちょっと落ち着いて」


私の言葉は聞こえていないのか、皆のガヤが止まらない。
私の大好きな忍たま達が、私の為を思って行動してくれた長次さんや八左ヱ門と対立するような構図になってしまった。そんなの絶対にいけない。


「やめてよ!!!!」


力一杯叫ぶと、ようやく静まり返った。


「余所者の私を引き留めてくれるの、皆に仲間と認めて貰えたみたいでとても嬉しいよ。だけどこのタイミングで帰る方法が見つかったってことは、きっと今が私の帰る時だったんだよ」


「お前まだ余所者とかそんな事言ってるのか!?仲間に決まってるだろうが!!」


文次郎君が頭を叩く。


「あいたっ。へへ、ごめん…」


「ああ!?また文次郎はAちゃんに手を出す!!」


さっきのは誰かに仲間だと言って欲しくてわざとあんな言い方しちゃった。
微笑しながら文次郎君に叩かれた脳天をさすっていると、後ろの方から誰かが人混みをかき分けて、私の肩を掴んで引っ張った。


「帰るってあんた、まだ俺の頭撫でられてねえでしょうが…!!」


悔しさに涙を滲ませた作兵衛がそこにいた。作兵衛の頭に手を伸ばすと、撫でさせないと言わんばかりに手首を掴まれた。


「ふふ。最後くらい意地悪しないでよー」


これ以上場の空気を重たくしたくなくて、なるべく軽く言ったつもりだ。だけど最後という言葉がよくなかった。作兵衛が下唇を噛み締めて顔を逸らしてしまった。

その時、脇腹に衝撃を感じた。喜八郎が横から抱きついてたのだ。


「今すぐ竹谷先輩と別れて。あの人の言うこと間に受けて帰ったら、一生許さないから…」


何も言わずにその頭を撫でた。
私は帰るしかないよ。だって、最愛のあの人に帰れと言われてどんな顔してここで生きていけばいい?


「元の時代へ戻るには、即死しなければいけないんだよね。私どうも自信なくて。何か方法を考えてくれないかな?」


「承った」


うん。長次さんならそう言ってくれると思った。喜八郎が穴掘りで鍛えられた腕でぎゅうぎゅうと締め付ける。


「き、喜八郎、苦しい…折れる折れる!」


八左ヱ門が引っ剥がすと、喜八郎は見たこともない冷たい表情で彼を睨め付けた。


「皆、忙しいのに私の為に色々考えてくれてありがとう。近々帰ることになると思うけれど、それまでは皆と笑って過ごしたいな!」


そして六年ろ組の教室を足早に去った。言い逃げだ。もう涙腺も私の心もとうに限界を迎えていた。

殺害方法の段(仙蔵視点)→←其の捌



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
37人がお気に入り
設定タグ:忍たま , RKRN , 竹谷八左ヱ門   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー!一気読みありがとうございます! 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました!どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる!笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです! (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです!どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます! (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも!!めちゃおもろいです! (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2024年2月2日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。