其の弐（八左ヱ門視点） ページ2
結局あれから雷蔵はまた大したことを喋らなくなったので、ほどなく解散した。
二人の予想を纏めると、Aが一人で町へ行こうとする理由は俺の為なのかもしれないということと、未来人扱いされるのが嫌なのかもしれないということ。それが的を射ているならば、俺の言葉を素直に受け入れられないのも分かる。
Aと話さない夜はかなり長く感じた。つい最近始まった日課だというのに、それより前はどうやって過ごしていたかもすっかり忘れてしまった。手持ち無沙汰で勉強でもしようかと【にんたまの友】を開いてみたけれど、何一つ身にならないような感じがしてすぐに閉じてしまった。
こんな時に同室でも居ればと思ったが、同室が居ないのはAも同様。今まで俺よりも遥かに心細い思いをしてきただろうな。そして今も。
「ハァ……」
今日こそ話し合えたら良かったんだが。これから会いに行ってみようか？しかしAは会いたくなさそうだったしなぁ…。
「はっ、八左ヱ門…っ！！」
「え…？」
Aのことばかり考えていたからか、声が聞こえた気がした。そんな馬鹿な。今日は会いに来ない。本人がそう言っていたじゃないか。
「助けて…！」
幻聴や妄想などではなかった。二度目の声を聞いて俺はすかさず引き戸を全開にした。
そこには会いたいと願ったAが焦り顔でへたり込んでいた。
「どうした！？」
「わ…私の部屋に何か居る……！」
それを聞いて頭に血が上るのを感じた。Aが驚いて飛び出して来たなら既にその侵入者は部屋から遁走した可能性が極めて高いが、他でもないAの部屋へ忍び入った事、そして一人部屋の彼女をこんなにも怖がらせた事、万死に値する。
「寝ていたら気配がして飛び起きて……でもそれが何だったのか怖くて確認できなくて、あの、それで……！」
「分かった、大丈夫だから落ち着け。一緒に確認しに行こう」
しどろもどろになりながら説明をするAの肩に手を置いて慰め、得意武器の微塵を掴んで六年長屋へと向かう。
就寝中だったとの事でAの部屋は真っ暗で、戸は閉まっていた。
「自分で閉めたのか?」
小声で確認すると、「わからない」と首を振る。俺は少し離れるように言い、思い切り戸を開け放つ。暗くてほとんど何も見えないが、人の気配はしない。
最大限警戒しながら明かりを灯す。何か侵入の形跡でも残されているかもしれない。
「………何も無いか……ん？」
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玉虫厨子(プロフ) - 麗羅さん» わー！一気読みありがとうございます！ 私もどんなエンドを迎えるのか言いたくてうずうずしてしまいます笑 (2月14日 20時) (
レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - すごく面白くて、一気に読んでしまいました！どうなってしまうんでしょうか…。ハッピーエンドじゃなかったら悲しすぎる！笑 (2月14日 10時) (レス) id: 06bc0a6cee (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - Maさん» いつもありがとうございます💓楽しんで頂けて何よりです！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ねこさん» コメントありがとうございます🙇夢中とのことで嬉しいです！どのような結末にするかは決めているので、メッセージで質問頂けたらお答えできます！ (2月13日 22時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
Ma - 鬱展開なのか...それとも...んでも！！めちゃおもろいです！ (2月13日 22時) (レス) id: 8c9f415f7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉虫厨子 | 作成日時：2024年2月2日 21時
