【忍たま】君の想いは花筏【共通話11】

本音が知りたいの段（利吉視点） ページ6

はぁ〜〜〜〜。
なんてベタ且つ単純な色仕掛けだ。これくらいの思春期男子には極めて効果的なやつだよ、けしからん。
もう北石君にはこの案件頼んでやらない。


「あのー、どうでしょう、そろそろお休みになっては……？」


私の表情を窺いながらAさんが恐る恐る言う。まだ私の顔怖いかな？


「もう？まだ私の心の隙間は一割程度しか埋まっていませんよ」


「まだ一割ですか！？」


結構お話したと思うのですが！？と驚きを隠せない様子のAさん。はいはい、どうせ私はAさんから求められてないですよ。
かくなる上は、先程思いついたあの作戦を試すしかないか？


「本当にまだお休みにならなくて大丈夫なんですか？」


「……………。」


寝たふりしてAさんの肩に頭を乗せてみよう大作戦！

私がぐっすり寝ていると分かればAさんはきっと素の自分が出てしまう筈。その反応で私が脈ありか脈なしか知れるかもしれない。

脈ありならしばらく肩の上で寝かせてくれるかもしれない。逆に脈なしならすぐ起こされるかな？
雑に床に転がされたらしばらく立ち直れないかも。


「利吉さん？……わっ！？」


「ぐうー…」


私の頭は舟を漕いでいるように見せかけて上手い具合にAさんの右肩へと着地した。


「りっ、利吉さん……寝ちゃいましたか……？」


「ぐう」


「…………どっ、どうしよう………！？」


ふふふ、悩んでる悩んでる。


「利吉さーん、寝るならちゃんと横になりましょうよー…」


軽く揺さぶられる。えー、即起こしちゃうの！？悔しいからまだ起きてやんないもんね。触れ合ってやっと心の隙間が三割ほど埋まったところなんだから。もう少し補給させて下さい。

身を捩って私の頭を引き剥がした。ああっ、これは床に転がされるのか。あーそうか、私は脈なしなのか──…

勢いによっては頭を打つこともあると思い、来る衝撃に心の準備をしていると、私の左頬は温かくて柔いものに包み込まれた。


(え、これってまさか、Aさんの膝枕……！？)


今私は太腿の上なの！？待って待って、幸せ過ぎる……！！寝たふりで騙してごめんねAさん……。


「もしや起きてます…？」


「…ぐぅ」


「な訳ないか」


危ない、心逸って寝たふりを忘れてた。


「本当はかなり疲れてたんでしょう。馬鹿な人だなぁ……学園に来て下さったら、いつでもお話するのに……」


馬鹿で結構です！！馬鹿なお陰でここ数年で一番の時間が過ごせています！！

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