かけがえのない仲間の段 ページ30
「潮江く〜ん、会計委員会が助っ人で引いてくれてたんだって?ありがとう!僕と伊助が合流したからもう大丈夫だよ〜!」
荷車の元へ戻ったタカ丸君は良かれと思って声を掛けたが、返答は意外なものだった。
「バカ言え!今交代したら留三郎になんて言われるか!!俺はこのまま忍術学園まで引くぞ!!」
「ふうん?それじゃあ佐吉、僕と代わろう」
「あ、ありがとうございます…!」
それを聞いた留三郎は文次郎君の顔を見てニヤ、と笑った。その視線に気付いた文次郎君はすぐさまそれを阻止した。
「そんなの条件が変わって俺達の負けになっちまうだろ!!佐吉!!会計委員会でも鍛錬してんだ、まだいけるな!?」
「ひえっ!?は、はいぃ!」
意地を張った少年みたいで可愛いなと思って聞いていたけれど、疲れた後輩を巻き込むのは良くない。佐吉君はプライドが高くて意地っ張りなんだから、限界が来ても自分から無理だとは言わないだろうし。
「ほんと、文次郎君と留三郎って仲良いよね。磁石でも入ってるかのように引き寄せられてさ。あっ、もしかしてそういう関係──」
「はあ!?」
「んな訳ないだろ!気色の悪い事を言うな!」
「ふぎゃ!?」
留三郎の何言ってんだという顔、そして文次郎君の全力の否定と脳天への拳骨……。衝撃で上下の歯がガチン!と鳴った。あ…危ない、これ舌噛んでたら危なかったよ!
「こら文次郎!!お前はそうやってすぐ手が出る──うわぁあっ!?」
「伊作、大丈夫か!」
諌めるために荷車を降りようとした伊作君が片足での着地に失敗して地面に崩れ落ちた。これは伊作君の不運なのか、私からの巻き込まれ不運なのか…。
「……冗談はこの辺にして、下級生を留三郎との個人的対立の為に使わないこと!!無理させちゃダメ!!もちろん文次郎君も無理しちゃダメ!!」
真剣な顔で注意したのに、文次郎君はフッと笑った。私ってやっぱり威厳がないみたい。
「数日前は勝手に俺達との間に壁を作って自分を余所者扱いしてべそかいてたのに、いっぱしの先輩みたいな事を言うじゃないか?」
文次郎君が言っているのは、私が逗留先から戻った時に忍術学園に対しておこがましくも“ただいま”と思った事を言っているんだ。
「わ、悪い?私だって護られるだけは嫌だもん。皆の事も護りたい。皆大切な…仲間、だから……」
やっぱり居候が仲間だなんて出しゃばり過ぎたかもと思い、言葉が尻すぼみになってしまった。
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玉虫厨子(プロフ) - コトハさん» こちらこそ最後までお読み頂きありがとうございます!鉢屋とのやり取りを気に入って頂けて嬉しいです☺️鉢屋はどうしても書きたいシーンが一つあるので、いつかルートで書けたらなぁと思っています。応援ありがとうございます!! (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
玉虫厨子(プロフ) - ちーさん» とうとう終わりました!連載中は何度もコメントくださりありがとうございました😊そしてこれからも末長く宜しくお願い致します🙇 (12月30日 7時) (レス) id: 9682a1978c (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - キャラ皆んな魅力的ですが三郎と主人公ちゃんのやりとりが特に好きだったのでいつの日か三郎のお話も読めると嬉しいです、玉虫様のご無理のないペースでこれからも楽しみに応援しています。長々とすみません (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
コトハ(プロフ) - 共通章完結おめでとうございます! 素敵なお話をいつもありがとうございます! 作品を読みながらこのキャラとのルートはあるかなっとドキドキしながら想像するのも楽しかったのでこれからキャラ達とどんなルートのお話が読めるのか楽しみです! (12月30日 6時) (レス) id: 97fc43e259 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - とうとう共通話が終わったんですね!各キャラの分岐の話も楽しみにしています。最後まで愛読させていただきます! (12月29日 22時) (レス) id: 88a0bb30f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玉虫厨子 | 作成日時:2023年12月10日 16時