【忍たま】君の想いは花筏【共通話11】

其の参 ページ20

「私、自分のことばかり考えて、浅はかで嫌になる……。留三郎の方が歳下なのに、私よりずっと大人だね」


「言葉尻だけ取って物事を変な風に考えたり、すぐピーピー泣くっていう困った所はあるが、お前の愛嬌があって心優しくて努力家な所を俺は評価してる」


あはは、ピーピーって。私の欠点よく見てるなあ。


「別に努力家ではないと思うけどね」


「手をこんなにしてまで臼砲を引いてきた時、弱音も文句も一つとして漏らさず、しんべヱが食べてしまった弁当の件も後輩達の分にと自分の握り飯を分けてやったろ。昨日一日だけ見ていても色んな奴がお前に惹かれる理由がよく分かる」


買い被りすぎだよ留三郎は。昨日は全員で頑張ったじゃない。皆努力家だよ。


「この怪我は荷車を引き慣れてなかったから出来たもので、私の力なんて本当に微々たるものだよ？きっと居ても居なくてもそんな変わらないよ」


「力の強さの問題じゃねえよ。しんどいのに後輩達を励ましながら引く姿に俺も力を貰ったんだ。怪我だって、誰よりもAが一番努力して引いたって証だ。お前は用具委員の鑑だよ」


「はは、本当買い被りすぎ。私は用具委員じゃないしね」


「いや、用具委員だよ。俺が認める。用具委員会委員長補佐だ」


「わあ、そんな立派な役職！」


「委員長補佐は委員長の側に居なきゃならない。だから、今後おかしな理由で学園を出て行ったら委員長の権限で連れ戻すからな」


「……うん！」


胸の前に回された手は強く私を抱き締めて、絶対に離さないという意志を感じた。それが私の“人から必要とされたい欲求”を満たしてくれて、とても心地が良い。

それだけじゃない。今し方留三郎が与えてくれた委員長補佐の役職。こんなのは正式なものじゃないことくらいは分かっているけど、それでも私はまだ忍術学園に居てもいいんだという気にさせてくれる。用具委員会の皆は私が委員長補佐になったと聞いたらどんな反応するかな……ん？


「あああ！！橋！！」


留三郎が戻るまで休憩って言ってからしばらく経つ。皆、待ちぼうけを食わされてるに違いない。


「しまった！行ってくる！！」


「私も！」


急いで駆け出した留三郎を追いかける。


「だって、用具委員会委員長補佐だもん！」


「…フッ、急ごう！」


その後、用具委員会の皆は自分達の判断で既に作業を開始していた。留三郎はきちんと事情を話さなかったのでサボりとみなされ、守一郎と作兵衛にこってりしぼられた。

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