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林檎飴。綿あめ。焼き鳥にかき氷。
射的。金魚すくい。ヨーヨー釣り。
それらの物に子供のように目を光らせている彼女がかわいかった。
祭りの提灯に合わせてゆっくりとぼんやりと目に映る彼女の笑顔。
お囃子の音に合わせて動く髪の毛も。
儚げで、今すぐにでも消えてしまいそうで。
本当にここにいるのかさえも怪しいほどだった。
「ねえ見て透君」
そういった彼女の手に中には様々な商品が。
「凄いね。何で手に入れたんだ?」
「射的」
学校時代、銃のテストはいつも一位だった。
さすがの俺でさえ敵わなかった科目だ
実弾でなくとも銃の形をしたものだったら扱いに離れてるか。
「えーAさん凄い!歩全然取れない…」
「なるべく体を前に向けて…そうそう。弾は景品の上の方にあてるといいよ」
アドバイスも的確だった。
学校時代も何回か彼女に撃ち方を教えてもらったことがある。
その場ではできても改めて自分でやるとできなくて。
そのたびに教えてくれた。
…そんな優しい彼女に惹かれていった自分がいた。
「あ、そろそろ花火始まる時間みたい」
「じゃあ場所に行きますか」
「花火楽しみだなー」
「だねー」
おおよそ1時間ぐらいにも及ぶ大規模な花火大会。
いつも音だけ聞いていたから少し楽しみにいていた自分がいた。
綺麗なだけで終わらない。
不思議とみる人に余韻を残していく。
ただの火薬が空に打ち上げられるだけなのに。
心の風情は消えないんだ
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作者名:うまずたゆまず | 作成日時:2018年8月17日 20時