155話 ページ6
「…__ちく_……ぱちく_…新八君!」
「!!_っはっ、はい!」
「ホラ、お肉。そろそろあげなきゃ焦げてきちゃうよ」
「あ…ありがとうございます、山崎さん」
時刻は19時。会場から銀魂高校方面へ、数駅離れた辺りのとある焼肉屋では、銀魂高校剣道部の面々が打ち上げを行なっていた。
「どうした新八君!せっかく成績を残したというのに、ずいぶん浮かない顔じゃないか」
各部員達のテーブルに挨拶回りに行っていた近藤と土方が戻ってきた。
「いえ、ちょっと、疲れちゃっただけですよ、大丈夫です」
「そうか!とにかく、今日は遠慮しないでどんどん食えよ!」
「近藤さんの言う通り、オメーは初の個人戦も出てるし、疲れてるだろ。遠慮はなしだぜ」
と、新八の皿にマヨネーズを盛ろうとする土方。
「ありがとうございます大丈夫です」
「遠慮は無しっつったろ」
「遠慮じゃないです大丈夫です」
そうか…と不満そうに自分の皿にマヨネーズをブチュブチュ盛る土方を尻目に、焼き上がった肉を頬張るが、どうも今の新八は味わう余裕が無いらしい。
原因は言わずもがな、Aの勢い余った発言だろう。
…す、好きな人を、そんな風にって…す、好きな人、す、すきす、すすす、す…
と、パニックパニックなしょっ●ー状態となっている。
聞き間違えではなかったと思う。思うが、まだ信じられない。
発言したA本人はそのまま真っ赤になって走り去ってしまったので、真意を聞くこともできない。
しかし、それをわざわざLIMEで聞く勇気もない。
ハァ、とため息をつきながら、新八は白米を口の中へ掻き込んだ。
「…………」
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作者名:ウミガメ | 作成日時:2021年7月23日 18時