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194話 ページ45

「…そう、だったんだ」



先程の田中との一連の騒動を話しながら、二人は歩いていた。



「どっちにしろ、一人にしてしまって本当にごめん」

『もう大丈夫だよ!気にしないで…!』

「…ありがとう」

『一気に解決できて何かスッキリしたしね!


……あれ』



と、Aはふと気づく。



『…私達、どこ向かってるの?』



ふらふらと歩いてはいるものの、花火を見に来たであろう人はほとんど見ない。
街灯に照らされた遊歩道がずっと伸びている。



「あぁ、ちょっと行きたい所があるんだ」

『?』



何か含みを持ったような言い方で、そのまま歩いていく新八。
良く分からないが、この緑地公園は詳しくないAはとりあえず着いていく。



「こっち」

『え、こっち?』



新八が歩いていくのは、丘へと続く階段。
周りは木々が生い茂っていて、花火は見えそうにない。



『花火と逆方向なんじゃないの…?』

「さて、どうでしょう……あ、足元気をつけて」



何を企んでいるのか、いつもと違う雰囲気の新八に驚きながら、Aは階段を登る。



『よ、い、しょっと……着いた?』

「うん、こっち」



階段を登りきった先には小さな東屋とベンチがあった。
街灯もぼんやりとした明るさで、かなり暗い。

東屋の向こうには柵があり、景色が見えるようになっている。



「…はい、こっち座って」



ベンチの葉っぱをはらって、新八はAを誘導する。

言われたまま座って、一息ついた瞬間、甲高い音と鈍い破裂音が響き、視界がパッと明るくなった。

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作者名:ウミガメ | 作成日時:2021年7月23日 18時

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