171話 ページ22
「おい、行くぞ」
そこで高杉と桜、武市がやって来た。
『うん。…他の皆は？』
「また子ちゃんと万斉君、似蔵君で塩スト君捕まえに行ったよ」
「…あれ、葵さんが居ませんね」
「後から行くって言って、さっきどっか行っちゃったの」
「…ま、大丈夫だろ、行こうぜ」
と、歩き出した高杉に各々着いていく。
ジリジリと照り付ける日差しの中、プレハブ小屋に着いた一行。
ドアを開けると、ムワッとした熱気が広がる。
『うーわあっつ…』
「窓開けましょうか」
と、部屋の窓とドアを全開にし、風を通す。
「意外と綺麗だよねここ。夏休み掃除してたの？」
「万斉や似蔵が塩スト張り込むとき来てたみたいだからな」
部屋の隅に置かれていた古い扇風機を動かし、また子達を待つ。
「そろそろドア閉めとこっか、虫入りそう…」
と、桜がドアを閉めようと外に出た時。
「あっ来た！また子ちゃん達と塩スト！！向こうから歩いてくる！」
『！！』
「…A、奥座れ」
普段高杉の定位置となっているソファを譲って、Aを守るよう、その斜め前に立つ高杉。
『…ありがとう』
ドキドキする心臓を静めようと息を吐きながら、ソファに座った。
すると、複数人の足音が近づいて来るのが聞こえる。
足音は自分達の部屋の前で止まり、そして、扉がゆっくりと開いた。
そこには、万斉がいた。
その後ろに、塩顔ストーカー…通称塩スト・田中翔太が不安そうな表情を浮かべて立っている。
そんな彼を逃がさんとばかりに、両脇をまた子と似蔵が張り付いている。
「…連れて来たでござるよ」
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作者名：ウミガメ | 作成日時：2021年7月23日 18時
