152話 ページ3
『ぬわぁぁぁ…あちぃぃい』
公園から少し離れ、人の少ない会場近くの通りを、ふらふらしながら歩くAがいた。
目当ての自販機を見つけると、すぐそばのゴミ箱に空のペットボトルを押し込んだ。
「…あっ」
自分が歩いて来た反対側の道から、ふと聞こえた声。
『…あっ』
空き缶片手に、新八が立っていた。
一瞬の沈黙の後、口を開いたのは新八。
「Aちゃんもゴミ捨て?」
『う、うん』
と、Aの隣に歩みより、ゴミ箱に缶を突っ込む。
『しっ試合、お疲れ様!』
「…へへ、こちらこそ、わざわざありがとう」
『…あ、ご、ごめんね、あの時』
「え?…あぁ、3位決定戦?」
『うん、つい、力入っちゃって…逆に、迷惑だったよね…』
いかん、今思い出したらまた恥ずかしい…と顔に熱が集まってくる。
「いやいや、謝らないでよ!迷惑な訳ないじゃん!」
『…へ』
「あれのお陰で、我に帰れたんだよ。沈んでた気持ちから這い上がれたんだ。
だからそんなこと言わないで」
『…あ、ありが、とう…!よかった…!』
と、恥ずかしさとは別の熱が、また顔に集まって来るのを感じ、つい視線をそらしてしまった。
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作者名:ウミガメ | 作成日時:2021年7月23日 18時