169話 ページ20
それから2日後のある日。
この日は登校日。何故か集まってクソ暑い中話を聞いたり期限の宿題を提出する、意味の分からないあれである。
久しぶりに顔を合わせるからだろう、校門から昇降口まで、生徒達の賑やかな声が響き渡る。
「あっ、桜、A、久しぶりアル_…ナ…?」
久々登場、神楽も例に漏れず、A達に声をかけた…が、そこに広がる光景に唖然とする。
Aが歩いている。その両隣に桜と葵がついて歩いている。歩幅まで合わせてAにぴったりと張り付いている。
その後ろを同じ様に高杉一派が歩いている。
まるでセレブを守るSPの様な、不思議な光景だった。
「……何してるアルか?お前ら」
「え?何が?」
「いや、その歩き方」
「え?1学期もこんなんだったよ?」
「…桜までどうしたアルか」
訝しげな表情をする神楽を他所に、各々靴箱へ向かう。靴を履き替えると、また先ほどのように列を組んで歩き出した。
『…あの、もう、学校だし、大丈夫だよ…』
「いや、教室までこのままだ」
『いや、やっぱ恥ずかしいって…!』
「ダメッスよ!田中塩スト翔太が接近したらどうするんスか?」
と、Aの真後ろを歩くまた子が言う。
「また子の言う通りだ。それに今日は奴を呼び出し直談判するのだろう?今から気を引き締めないといけないでござろう」
そう、塩ストの正体が判定しAが出した決断は、高杉一派と葵がいる場で落ち着いて話す、ということだった。
先日神威に助けられる前までは2人きりでかつ、パニックになっていた。
人の目があるところで、落ち着いて説得しようと考えたのだ。
だからこそ、高杉達がピリついているのは分かる。でもこれはやりすぎじゃ…なんて思っていると、教室に着いた。
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作者名:ウミガメ | 作成日時:2021年7月23日 18時