160話 ページ11
『……』
あまりの主張に開いた口が塞がらない、とはこの事か。
「…廊下ですれ違った時も、熱い視線、送ってましたもんね。もう、心は1つでしょう?」
『…まっ待って!全っ然違う!勘違いしてる!』
え、と一瞬驚いた隙に、Aは一気に捲し立てる。
『まず球技大会!これはうちのクラスの第2セットが銀ちゃんや沖田、土方のZ3がいたから、女子ギャラリーが増えて、あなた達のコート側へ移動せざるを得なかった!
そして剣道の大会!これはクラスメイトの新八の応援で行ったの!あなたの事は、これっぽっちも知らない!
それに、お店に毎日通ってくれたって言うけど、あなたが言うまで一切気づかなかった!そして笑顔で接客するのは当たり前!あなたはただのお客様!』
ハァ、ハァ、一気に言い過ぎた…と呼吸を整えるA。
「えっ…何言ってるんですか…」
『いや貴方が何言ってるの!?熱い視線がどうのとか言ってたけど、今言った通り、私は、あなたの事、知らないの!!
全部、勘違いなの!!』
あぁ、もう埒が明かない。これだけ言ったしもう逃げよう、とそのまま走り去ろうとした。
『…っ!痛っ…!!』
ものすごい力で、腕を捕まれる。剣道部と言うだけあって、簡単には振りほどけない強さだ。
『ちょっ、離して!!』
「…もう、Aさんったら…そんなに怒らなくても良いじゃないですか」
『は…?』
「寂しかったんですよね?連絡もしないで、いきなり店に行ったりしたから、怒っちゃったんですよね?だからデタラメ言ったんですよね?
でも大丈夫ですよ、Aさんの愛は十分に感じました!もう寂しい思いはさせません!
ほら、一緒に帰りましょ!?」
『ひっ…!』
やばい、こいつの目、完全にイッちゃってる…
恐怖で完全に体が動かせなくなり、もうダメだと感じたときだった。
「あれ、Aじゃーん♪」
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作者名:ウミガメ | 作成日時:2021年7月23日 18時