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「離せ‼気持ち悪い…‼私はお前のような男と構う暇は無いんだ‼消えろ‼」

「あーあー、暴れないでよ。暴れたら結局自分が痛い思いするだけだよ?たっくさん可愛がってあげるから大人しくして、ね?」



子供をあやすように顎を持ち上げられる。全く嬉しくない顎クイだ。口調を荒げても一切動じる事は無く、気が動転するばかりだった。


こんなところで情事をするとは馬鹿げている。知らない男と致すほどAは終わった女ではない。必死に抵抗を続けていると、遠くで鈴の音がしゃんと聞こえた。


これは、Aが煉獄に授けた呼び鈴の音だ。


微かな音でも聴き逃さなかった。近くにいる。彼が近くにいる。自分の事を探してくれている。


顎が外れんばかりに口を開けた。



「……さん‼煉獄さん!!!!!!!」



急な大声に男は焦り出した。静かにしろよ! とAに右手を振りかざす。暴力に物を言わせるつもりらしい。


Aは咄嗟に目を閉じた。しかし、いつまで経ってもかざされた右手は降りてこない。何が起きた、と恐る恐る目を開けるとそこには____


「遅くなってすまない…‼怖い思いをさせたな、A。もう大丈夫だ‼俺がいる」


大好きな彼がいた。足元にはあの男が顔を抑えて倒れ込んでいる。恐らく彼女から身を剥がすために何かしたのだろう。煉獄がそいつに目をやると、目があった事に恐怖を感じたらしく、尻尾を巻いて逃げていった。


「…れ、んごくさん」


腰が抜けたAはへなへなとその場に座り込んでしまう。煉獄はそんな彼女を抱き締めた。大きな腕に抱えられ、ぶわりと胸が熱くなる。愛おしさと切なさと申し訳なさが同時に込み上げたからかもしれない。


今なら、言えるかもしれない。震えた声で言った。



「私…煉獄さんが好きです。お慕い申し上げております。初めて会った時から大好きでした…」


彼の表情は見えない。けれど、抱き締める力が強くなった。頭を撫でられ、耳元で囁かれる。

「俺も君を愛している。誰よりも好きだ…どうか、ずっと俺の側に居てくれ」


「…はい」


アゲハ蝶は、やっと羽根を休める肩を見つけた。

心の声に耳澄ませ→←.



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橘欅(プロフ) - ネコ2世さん» コメントありがとうございます!幸せな気持ちになっていただけるなんて…光栄です!どうかこの作品をご贔屓に! (2019年11月13日 16時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
ネコ2世 - 主人公が可愛らしくて好きです!煉獄さんとのやり取りが微笑ましくて読んでる側もすごく幸せな気持ちになります! (2019年11月12日 16時) (レス) id: 6d89e33ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年11月10日 22時

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