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「どうしたのよ、突然こんな所に」
「此処らで負傷隊員と鬼が遭遇したと聞いて出向いた。そして色々あって此処が君の屋敷だって分かった」
「その色々が聞きたいけれど…まぁいっか。元気そうで何よりだわ」
…また、傷が増えてる。これは跡になる、古傷になって疼くような傷だ。
本当に嫌になる。貴方といると、自分が自分で無くなるから嫌だ。
「俺があげた髪飾り、付けてくれているんだな!嬉しい限りだ」
「別に…ただ修飾が綺麗だったから付けてるだけであって他の綺麗な物があったらそれ付けてるわ」
花のような飾りが揺れるこの簪。初めて二人で でぇとというものに出向いた時に買った物。当時は、仕事中に落としたくなかったからずっと戸棚にしまっていた。
今は、気が向いてるから付けてるだけよ。捨てられないとか、そんなんじゃないもの。
「よもや、付けてくれてるだけでも良い。君の顔が際立ってまた美しく見えるからな」
「う、うるさい!」
うるさいうるさいうるさい!顔を赤くさせないでくれ。どうして君はそんなに私の心を乱すんだよ。
調子が崩れた私は髪の毛をくしゃりと握ろうとした刹那、杏寿郎の使い鳥が次の任務を叫び出す。まだ昼だと云うのに。恐らく、此処から少し遠いところにあるんだろう。
「…また鬼、か。気を付けて行ってきな」
「む、そうする。Aが俺の生還を祈るのは嬉しい事だ!」
「…ば、別にあんたなんか死んだって悲しまないから勘違いすんな!」
北北東に鬼が出没。隊員が複数名行方不明。十二鬼月の可能性あり、か。
「早く行ってきな。炎柱の到着を皆んな待ってるよ」
そう言って私はこいつの背中を叩く。
杏寿郎は腰を上げ、炭治郎君が淹れてくれたお茶をガッと全部飲み干した。
おもむろに
「なぁ、A!」
「何よ」
「もう一度寄りを戻すつもりはないか!」
「…ない」
「そうか!でも俺は諦めない。また君が俺を惚れ直すまで何度でも告白する!」
「何よそれ、良い迷惑y…」
「それじゃあお邪魔した!」
私が言い終わる前に、風のようにその場から消えた。庭の鹿威しがカコン、と鳴る。取り残された私は、まだ湯気の立っている焙じ茶を啜るしかなかった。
「ほんっとに嫌な奴なんだから…」
ーー
大正こそこそ噂話
Aは無自覚ツンデレらしい
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橘欅(プロフ) - 柚葉さん» 此方こそ読んでいただき感無量です!拙い文章ですが私なりに煉獄さんのかっこよさを出したつもりの作品でした!本当にありがとうございます! (2021年4月16日 22時) (レス) id: 008152d6a1 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - やっぱり煉獄さんはカッコいい!!素敵な作品を読ませていただきました!ありがとうございました!!! (2021年4月15日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - コメント失礼します。私名前がメイなんですよ。それで名前ひらがなで読んでったらめいめいメイになりました!面白すぎません笑? (2020年3月18日 22時) (レス) id: f101cde2b9 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - あおさん» ありがとうございます!最近寒いですね〜、私の地方にも白鳥が訪れて来ました。最後まで御愛読ありがとうございました!次回作も是非目を通して下さいね! (2019年11月12日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 橘欅さん» 楽しみに待っていますね!無理はなさらずに、最近は寒いので体を冷やさないようにしてくださいね〜 (2019年11月11日 2時) (レス) id: 03cb9b6635 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年10月27日 1時