家は人を縛る物 ページ7
善逸君や伊之助君、炭治郎君達がこの屋敷で療養して早一週間が過ぎようとしている。
後もう少ししたら、療養は大丈夫と医者は言っていた。彼らに体力回復の訓練でも教えてあげないといけないな。また、昔のように身体を動かすのも悪くないかも。
誰もいない屋根の上で、猫と戯れるのは至高だ。
耳元で何かが囁いている。私はそれに暫く気が付いていなかったようだ。
「…ぉーし、もしもーし、聞こえてますか?」
はっと目が覚めたように身体が反応する。
「しのぶ⁈あらあらあら、久し振りじゃない!」
「お久し振りです、Aさん。元気にしてましたか?」
「あぁ。隠居生活も慣れて暇して来たよ。しのぶは?」
屋根の上で日向ぼっこをしていたからかなり驚いた。なんなら瓦一つ落っこちた。猫も逃げた。
しのぶはにっこりと笑う。
「私は相変わらずです。…竈門君達はどこにいらっしゃいます?」
「炭治郎君達?部屋に居ると思う。彼らに何用?…というか、何処情報?」
言い遅れました、と頭にこつんと拳を当てるしのぶは女神だ。柱にいた時から大層可愛がってるし、可愛がられてる。蝶の名がふさわさい女だ。
「煉獄さんから頼まれたんです。竈門君達の怪我がそろそろ完治するから私の屋敷で機能回復訓練してくれー って」
「杏じゅ……炎柱が?」
「はい。煉獄さん嬉しそうでしたよ?恋人の顔を久し振りに見れたって」
「知らないわ、そんなの。私彼奴とはもう他人だもの」
しのぶは首を傾げる。
「どうしてです?あんなに仲が良かったのに。婚約までしてたみたいじゃないですか」
「私が振ったの。私の家が、あいつの事を縛り付けるだろうから。だから結婚も断った。鬼殺隊も抜けた」
「何か深い事情があるんですね」
「…まぁね」
これ以上詮索はしません。と言ってしのぶは屋根からひらりと降りた。多分、炭治郎君達に要項を話しに行ったんだろう。彼女も大変だ。
「おいで、三毛。鰹節でもあげるよ」
三毛猫は返事をしなかった。見向きもして来ない。…全く、この猫は自分の名前をもう覚えたらしい。
「…杏寿郎、おいで」
「みゃあ」
足元にまっすぐ飛び込んで来る。可愛いな、この野郎。頭を撫でると、嬉しそうに身動ぎをして欠伸をした。
一頻りじゃれると、するりと私の手の中を抜け、何処かに行ってしまう。その方向を見たら、
「よもや、気付かれたか!」
元彼が立っていた
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橘欅(プロフ) - 柚葉さん» 此方こそ読んでいただき感無量です!拙い文章ですが私なりに煉獄さんのかっこよさを出したつもりの作品でした!本当にありがとうございます! (2021年4月16日 22時) (レス) id: 008152d6a1 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - やっぱり煉獄さんはカッコいい!!素敵な作品を読ませていただきました!ありがとうございました!!! (2021年4月15日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - コメント失礼します。私名前がメイなんですよ。それで名前ひらがなで読んでったらめいめいメイになりました!面白すぎません笑? (2020年3月18日 22時) (レス) id: f101cde2b9 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - あおさん» ありがとうございます!最近寒いですね〜、私の地方にも白鳥が訪れて来ました。最後まで御愛読ありがとうございました!次回作も是非目を通して下さいね! (2019年11月12日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 橘欅さん» 楽しみに待っていますね!無理はなさらずに、最近は寒いので体を冷やさないようにしてくださいね〜 (2019年11月11日 2時) (レス) id: 03cb9b6635 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年10月27日 1時