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「姉さんの婚約者の方ってどんな方だったの?」

「声がうるさくて人の話を聞かなくて考える前に体が動く馬鹿。…でも、誰よりも誇り高い、熱い男だった」

「素敵。よく手紙に書いて寄越してたものね。今日、杏寿郎と合同任務に行ってどうちゃらこうちゃら〜 とか。杏寿郎に誕生日祝いを貰った とか」

悪態吐くけど、なんだかんだ言ってしっかり好いてたの、バレバレでした。 蛍火が姉をちらりと見て言った。


Aの顔が火を吹いたように熱くなる。顔を手で抑え、慌てたように早口で言い返した。


「べ、べべべべ別に好きとかそんなんじゃ無いわよ‼第一、もう彼奴とは関わらないんだから良いのよ!終わった恋よ‼」

「じゃあ何故別れた今も杏寿郎さんから貰ったお着物と髪飾りを身に付けているんです?」

「それは…」


反論する言葉が見当たらず、黙ってしまった。綺麗な柄だったから、とかそういう理由じゃなく、Aの為に煉獄が選んでくれたのが嬉しかったから身につけている。これが答えなんだろう。

でも、彼女には口に出さなかった。否、出せなかった。


「…姉さん、嫌なら逃げても良いの。父様の言い付けになって死んでいく人生なんて嫌でしょ?所詮華族なんて称号はいつか消えるわ、それが遅いから早いかの違いだけ」

「じゃあ、蛍火は留学しないの?」

「迷ってる。最初は父様の言い付けだったけれど、異国には元から少し興味があったの。異国に行って、沢山の事を学びたい。でも、母様や姉さんになかなか会いに行けないのは寂しいから___」


Aは思った。六年の歳月で、妹はこんなにも大人になっていたのか と。自分が剣を振っている間に、こんなにも精神が成熟していたとは思わなかった。


この子は強い。我を貫く事が出来る強い子だ。


「杏寿郎さんに…会いたい?」

「…うん」

「今でも好き?」

「……ん」


蛍火がAを抱き締めた。


「今まで姉さんは私と母様に沢山の事をしてくれたわ。命懸けで戦って、お金をたっくさん送ってくれた。それで家計は助かってたの。
今度は私がそのお礼を返す番だわ。姉さん、幸せになってね」


泣きそうな震えた声だった。Aは、ただ頭を撫でる事しか出来なかった。

母の贖罪→←姉妹の責務



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橘欅(プロフ) - 柚葉さん» 此方こそ読んでいただき感無量です!拙い文章ですが私なりに煉獄さんのかっこよさを出したつもりの作品でした!本当にありがとうございます! (2021年4月16日 22時) (レス) id: 008152d6a1 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - やっぱり煉獄さんはカッコいい!!素敵な作品を読ませていただきました!ありがとうございました!!! (2021年4月15日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - コメント失礼します。私名前がメイなんですよ。それで名前ひらがなで読んでったらめいめいメイになりました!面白すぎません笑? (2020年3月18日 22時) (レス) id: f101cde2b9 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - あおさん» ありがとうございます!最近寒いですね〜、私の地方にも白鳥が訪れて来ました。最後まで御愛読ありがとうございました!次回作も是非目を通して下さいね! (2019年11月12日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 橘欅さん» 楽しみに待っていますね!無理はなさらずに、最近は寒いので体を冷やさないようにしてくださいね〜 (2019年11月11日 2時) (レス) id: 03cb9b6635 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年10月27日 1時

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