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女の人の静かな声に触発されたように、今初めて姿を現した鬼の首がはるか遠くに飛んでいく。
炎が辺りを照らした。
「大丈夫?鬼殺隊の少年達。怪我で動けないなら少し離れてなさい。残りは私が処理するから」
黒髪の女の人は、そう言って爽やかに笑った。返り血が頰にべたりと張り付いている。それでも、綺麗だった。
「うるせぇ!俺も戦うわ!俺の獲物横取りすんじゃねぇ!!」
「やめとけ伊之助!なんか良く分かんないけどあの可愛いお姉さんに従って今は離れるぞ!腕も肋も折れてんだから安静にしとけよ!」
善逸が無理矢理伊之助を引っ張った。
そこからの展開は早い。
あの三匹の鬼の血鬼術は、どうやら“気配を隠す” “音を消す” “姿を隠す” らしい。皆口元が縫われていて一切を喋らなかった。叫び声さえも。
あの女の人は、今“気配を隠す”鬼を切った。
俺達がある程度離れたのを確認して、何かを呟いている。
「これぐらいの距離なら大丈夫…かな。
炎の呼吸 伍の型 炎虎‼‼ 」
前方に、虎の形をした炎が繰り出された。その姿はまるで獣。広範囲の炎は、鬼の首を吹き飛ばし、焼き殺す。二匹とも灰になって消えていった。
血を、刀一振りで払う。日輪刀を鞘に収めた。
「鬼退治は終わったよ。少年達。今日はもう遅いから私の屋敷に来な」
ビビり散らかして泣きじゃくっていた善逸の手を取り、立ち上がらせるこの人。伊之助が不機嫌そうに見やっていた。
「あ?お前誰だよ。俺と勝負しろ!」
「私?A。酩明A。勝負なんてしないわ。怪我人と勝負するほど鬼畜じゃないの」
「うるせぇ!良いから…お、れ…と____」
「生き急ぐな。暫く寝てなさい」
Aさんという人は、伊之助の鳩尾を殴って気絶させ、そのまま背負った。
「行きましょっ。私について来て」
「は、はいっ‼」
これが、俺達とAさんの出逢いだった。
ーー
煉獄さん、あと1、2話で出ています!
主ちゃんの苗字は酩明(めいめい)です。燻る灯火をイメージしました。
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橘欅(プロフ) - 柚葉さん» 此方こそ読んでいただき感無量です!拙い文章ですが私なりに煉獄さんのかっこよさを出したつもりの作品でした!本当にありがとうございます! (2021年4月16日 22時) (レス) id: 008152d6a1 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - やっぱり煉獄さんはカッコいい!!素敵な作品を読ませていただきました!ありがとうございました!!! (2021年4月15日 8時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - コメント失礼します。私名前がメイなんですよ。それで名前ひらがなで読んでったらめいめいメイになりました!面白すぎません笑? (2020年3月18日 22時) (レス) id: f101cde2b9 (このIDを非表示/違反報告)
橘欅(プロフ) - あおさん» ありがとうございます!最近寒いですね〜、私の地方にも白鳥が訪れて来ました。最後まで御愛読ありがとうございました!次回作も是非目を通して下さいね! (2019年11月12日 22時) (レス) id: 4f6b87549d (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 橘欅さん» 楽しみに待っていますね!無理はなさらずに、最近は寒いので体を冷やさないようにしてくださいね〜 (2019年11月11日 2時) (レス) id: 03cb9b6635 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:橘欅 | 作成日時:2019年10月27日 1時