365日 (ページ27)

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a long progression of rainy days③ ページ27

ロッカーに用意していた喪服に着替え、1階に降りると
同じく喪服に着替えた系さんが、待っていてくれた。

『すみません、お待たせしました。』

「いや、大丈夫だ。
あいつもまだ来ていない。」

あいつ…？と思ったところで
UDIラボの前に黒い車が停車する。

「行くぞ。」

その車の後部座席に乗り込む系さんに傘をさしていると
運転席の窓が開き、男性が顔を出した。

「おや、今日はお連れの方がいらっしゃるのですね。」

『木林さん…！

こんばんは。』

「Aさん、こんばんは。」

木林さんは、サングラスのレンズをあげ
私をじっと見ると、ほうと呟き、系さんの方を振り返る。

「そういうことですか。」

「うるせえ。

A、早く乗れ。濡れるぞ。」

系さんはチッと舌打ちをした後
私の目を見て、隣に座るよう頭を振る。

『ありがとうございます。
じゃあ、失礼します。』

葬儀場に着くと、式場に誰もいない事を確認し
祭壇の前に置かれた棺に近付く。

系さんは、ご遺体の口内を確認したが
すぐにふうとため息をつき、ペンライトを消し
一歩下がる。

「違う。赤い金魚じゃない。」

そう言い、手袋を外す系さんの隣に立ち
私もご遺体の口内を拝見させて頂く。

『そう…ですね…。』

棺の覗き窓をそっと閉め、ご遺体に手を合わせると
系さんが私の頭にポンと手を乗せた。

「A、悪い。
先に車に戻っていてくれないか。」

『はい。』

まだ何か用事があるのだろうか。
ただきっとそれは、私に見せたくない事なのだと感じ
微笑み、木林さんに会釈をすると、先に式場を後にする。

軒下で、降りしきる雨を見つめ
バタバタと地面に跳ねる音を聞いていると
程なくして、系さんと木林さんが戻ってきた。

「帰るぞ。」

系さんは早速ネクタイを緩め
私の髪をくしゃっと撫でる。

『はい。』

微笑み、系さんを見上げる。