桜樹の守人 (ページ22)

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｢……下らんっ！｣
高く舞い上がり斬りかかる紅丸。しかし、反撃されて愛刀を飛ばされてしまった。そしてその刀がフブキちゃんに……って！？
｢危ないっ！｣
駆け寄って半径10センチ位の丸いバリアを急いで張る。
弾かれた刀は紅丸が拾ったようだ。
｢(マタロウ！何とかヤツの動きを封じ込めてくれ！)｣
｢えっ！？何とかって！？｣
｢いいから何とかしてっ！！｣
フブキちゃんがマタロウ君の背中を押した瞬間、彼女の手が淡く光った。そして、マタロウ君が宙を飛ぶ。
｢フブキさん何したのーっ！？｣
そして、マタロウ君が飛んだ先で咄嗟に掴んだのは……
｢そうか！時計の動きを止めるには、振り子を止めればいい！｣
……うん。サン太夫君、間違ってない。間違ってないけど、その振り子の位置が問題というかなんというか、ね！？
｢(さすがマタロウ！)｣
｢いや、たまたまだよ！｣
｢(たまたまタマタマを掴んだんだな！)｣
｢違うって〜！｣
｢よし。一撃必殺！｣
〈ワーイ！execute！〉
紅丸の刃が赤く、紅く燃える。
｢怒髪天横一文字斬り！｣
彼の通ったあとに残ったのは。
｢成敗。｣
真っ二つになったクロックマンだった。
｢｢やったー！｣｣
｢拙者の紅は、闇を染める。｣
｢かっこいい……｣
心の声が漏れたのは、もう仕方が無いと思う。
｢決めゼリフキター！｣
振り子に捕まったまま、マタロウ君が叫んでいた。

｢ううう、本当は分かってたさ。時計が人間と家族になんかなれる訳無い……。要らなくなったら捨てられる、所詮それだけの存在なんだって……！｣
｢それは違う！｣
いきなり主人公のようなセリフを言いながら宿舎に入ってきたのは、見知らぬ男性だった。
｢ひ、ヒデオさん！？｣
｢……僕は、息子のセイイチだよ。｣
｢セイイチくん…？｣
｢まさか、本当に時計に命が宿っていたとはね……。｣
｢今更なんだよ！｣
セイイチさんによると、ヒデオさんは余命宣告を受けていたらしい。家に帰れないなら、時計君を学校へと寄付しようと思ったそうだ。だが、辛くて最後の言葉をかけられず、ずっと悔やんでいたのだ。｢これまで儂と一緒にいてくれてありがとう。お前は苦しい時も嬉しい時もずっとそばに居てくれた。儂の大事な家族だ。｣という言葉を……