七話 ページ9
ポシェットのボタンを留め、ハンターが居るであろう方向とは逆へ歩いて行く。
墓場から出れば大きな建物が視界の右に入る。
中に入ってみようと歩みを進め、中に入ればここが何処なのかやっと分かった。
『あぁ、教会……だから墓石があんなに』
並べられた長椅子は荒れ放題。
窓だって壊れていて、まるで廃墟だ。
ここに暗号機は無さそうだと振り返ると人影が目に入った。
『イソップさん』
「っ！ あ、A…さん」
思わず声を掛けてしまったが、彼は人が苦手だとこっそりウィラさんから聞いていた。
あまり話すのはよそう。
立ち止まる彼に人形だけ渡して去ろうと思い近づいて行けば、一歩後ろに下がる彼。
それを見て、自分の中の醜い感情が一瞬波立つのが分かった。
しかし抑え込む。
『あの、人形を渡したいんですが…受け取ってもらえますか？』
ポシェットから人形を一体出し、彼の前に出せば小さな声で「えっ…」と聞こえた。
驚くのも無理は無いだろう。
いきなりゲーム中に人形を渡されるのだから。
『ゲーム中の御守りみたいな物ですから』
「……身代わり師、でしたよね」
『覚えてくれていたんですね。有難う御座います』
「えぇ……話は聞いていたので…。人形……受け取っておきます」
彼の手に人形を渡し少しほっとした。
後はウィラさんだけだ。
ハンターが近くても渡しに行くべきだろうか…と一人悩んでいれば、視線に気付き顔を戻す。
『……何か変な顔でもしてました？』
顔を真剣に見ていたイソップさんに不思議さから声を掛ける。
素が出てしまっていただろうか、と冷たい汗が流れたがそういった訳では無さそうだ。
「い、いえっ……顔を覚えていただけなので、変な顔とか…思ってないですから。すみません…」
ハッとした顔で早口で答える彼。
顔を覚えていただけ、という言葉に引っ掛かりを感じたが彼にも彼の役割があるのだろう、気にしないことにした。
『そう、ですか？ では自分は暗号機を探しに行くので…』
「……Aさん」
立ち去ろうとすれ違いざま、名前を呼ばれ振り返る。
眉を下げ、何か思っているようなイソップさんが目に入る。
しかし彼は「いえ、何でもないです…」と言い反対方向へと歩いて行ってしまった。
不思議な人だな…なんて。
そういえば先程からずっと″ハンターが近くに居る″と伝えてくれている彼は大丈夫だろうか。
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夏目(プロフ) - 続きってないんですか？ (2019年7月18日 15時) (
レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜漬け(プロフ) - りょうです。さん» ありがとうございます！そう思って下さっている方が居ると知れて嬉しいです^^* 励みになります！ (2019年2月28日 19時) (レス) id: 414c0d4d99 (このIDを非表示/違反報告)
りょうです。(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！！待ってます！！ (2019年2月23日 23時) (レス) id: f9bb48da83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜂蜜漬け | 作成日時：2019年1月29日 5時
