寝静まる夜に【フィーナ】 ページ4
月夜が空を照らす中。大司教であるジゼラとともに側廊の火を順に消していき、闇を作り出してゆく。
「ジゼラ様。」
灯りを全て消し終わり、闇に包まれるとフィーナはジゼラに声をかけた。
「フィーナ、お疲れ様です。」
「い、いえ……、私がやりたいと思ってやったことですもの。」
優しく労ってくれた彼にフィーナは心が温かくなるのを感じながら謙遜する。その姿にジゼラがふわりと笑って見せると、大聖堂裏へと足を進めて行った。
____私も、眠っている子供達の様子を見にいかなくては。
自身の歩くすぐ下では、神によって祝福された子供たちが穏やかに眠りについている。しかし、中には目が覚めてしまい不安を抱えてしまう子供たちもいるわけで。
「急ぎましょう。」
あの子たちの恐怖や不安は出来るだけ取り除きたいと、足を進める。ジゼラを追うようにフィーナも大聖堂裏へと向かい、階段を降りていった。
彼女の静かな歩く音だけが廊下に響く。右手には使い古したカンテラ。ゆらゆらと彼女を守るかのように灯りは灯っている。
「シスター………?」
手元のカンテラの光のみを頼りに静かに宿舎の中を歩いていく。その途中、小さな声が聞こえた。
「はい、どうしましたか?」
くるり、と声をした方を向けば白い髪がうつされた。眠そうに目を擦りながらも廊下をトコトコ歩き、こちらに寄ってくるのはナルであった。
「起こしてしまいましたか?」
「んーん………、眠れなくて。」
フィーナの服の裾をおずおずと不安げに掴み、そっと寄り添う。日中、掃除のためにあちこち行くフィーナの後を追うナルに手慣れた様子で彼女は安心するような笑みを送った。
どうやら、ベッドに入っても一向に眠気がやってこないらしい。しかし、このままでは明日起きれなくなってしまう。
「あ、そうだわ。……ナル君、ちょっと厨房に行きましょう?」
「うん。」
ふと、何かを思いついたフィーナは服の裾を掴んでいたナルの手を握り暗い廊下を歩いていく。
「夜は冷えますからね……、ホットミルクを飲みましょう。」
「いいの………?」
「他の方々には内緒ですよ?…きっと、ホットミルクを飲めば眠れますよ。」
カンテラの明かりを頼りにミルクを取り出し、火で温める。そして蜂蜜を棚から取り出し、コップにスプーンひとさじ。そして、ミルクをそそぐ。
柔らかな匂いにナルがホッとする。フィーナは我が子を見つめるような温かな笑みを浮かべてその様子を見守った。
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開(プロフ) - いろいろな作品更新されたあとありますがPCが重くて間違えて触ってしまい更新された状態になってしまいました申し訳ないです、、一応触ってしまっただけなのでみなさまの文章に言葉が欠ける、増えるなどは無いです申し訳ありません (2022年3月21日 7時) (レス) id: 62c5ad2de3 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 作者様を巻き込みたくないので出来れば他の作者のCSSに変えた方が良いと思います (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
理紗@プロフ一部更新(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。私のCSSを変えていただけないでしょうか?どうやら再配布禁止の画像を使っていたので申し訳ないですが。大変ご迷惑をかけしました。全部が違反した分けではないのですが保証も出来ないのでよろしくお願いします。 (2021年3月3日 2時) (レス) id: c9fefc2be8 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - Melcheさん» 更新お疲れ様でした! シャルルさんとテレーゼさんは前からのお知り合いだったんですね。それにしても、シャルルさん視点のお話、面白いですよね笑 軽快な書き方がとても好きです! (2021年2月22日 23時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
Melche(プロフ) - 更新終わりました!最後のオチが上手くいかなすぎて泣きそうになりました() (2021年2月21日 20時) (レス) id: 10c523e9ad (このIDを非表示/違反報告)
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