男の勘 ページ7
「え、お前彼女おんの?」
「そりゃいますよ」
しげは彼女いないからね。僻んでるんだろう。
「まじかよ。俺も遅れとんのか」
「まぁ、私もいないから元気出して」
「お前は当たり前や」
人がせっかく励ましてあげたって言うのに。
「…重岡さん、俺応援しますよ」
「え、ほんまに?ってだから俺は好きやないって!」
男二人で楽しそうに騒いでる。
その間に濱田さんや部長から資料をもらってパソコンに打ち込む。今日は早く帰れそうだ。
「あ、じゃあ私帰りますね」
定時になって席を立つ。
「俺も帰る」
「重岡は残れ。明日の会議の話するから」
「嘘やろ。なんで今さら」
「散々ふざけたからええやろ」
確かにそうだ。今日はほとんど私がやってあげたのだから。
「お先に失礼します」
「あ、早瀬さん。俺も一緒に帰っていいですか」
小瀧くんも帰るらしい。たまには若い子連れて歩くのもいいかも。
「うん、喜んで」
普段は定時に帰るしげは私たちを思いっきり睨み付けて、課から私たちが見えなくなるまで文句を言っていた。
「ほんまに仲ええんですね」
「そう?ただの喧嘩みたいなもんだよ」
小瀧くんはやけに目がキラキラしてる。しげに何か吹き込まれたんかな。
「早瀬さんの取り合いですね」
「何言ってんの」
突然わけの分からないことを言い出してにやにやする。
「俺結構そういうの鋭いんすよ」
「へぇ」
爽やかだったのに恋愛の話から何かチャラくなってるというか。
「濱田さんは分からないんすけど、部長と重岡さんは絶対早瀬さん好きですよ」
「いやいや、それはないよ」
飲み会のときもあんまり話さないし、部長はしげと話すことの方が多い。それなら濱田さんの方が脈ありじゃないか。
「今さらそんなのありえないよ」
なんて言いながらも、口車に乗せられたのか、小瀧くんの人柄のせいか。普段話さないようなことまでついつい話してしまう。
「男は素直やないんすよ」
なんて。名言残して彼は帰っていった。
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作者名:七月雪 | 作成日時:2018年3月17日 21時