Una rosa roja - SHO - (ページ15)

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突きつけられた現実。

息が、できない。

「やめて。」

必死に絞り出したのはその言葉。

廉「え？」

「やめて！！！」

悲痛に響く私の大声。

目の前の廉くんは、
私の蒼白な顔に驚いた顔をしてる。

苦しい。

ぜんぶ苦しい。

唇にしょっぱさを感じて
自分の頬に涙が伝うのに気づく。

「A？」

ふと、10歩先くらいから声が聞こえる。

聞き慣れたハスキーな声。

私の、大好きな声。

足音がだんだん大きくなる。

彼が、

近づいてくる。

紫「廉、Aに何した？」

私の涙を見て、
目の前の廉くんに喧嘩腰に言葉を放つのは

私の大好きな人。

紫「未央ちゃんからライン来て

' Aがカラオケから居なくなった '

って書いてあって、心配で探しに来たら

なんで道端で廉に泣かされてるの？」

紫耀はいつもそうだった。

私が辛いとき、
いつも駆けつけてくれる
私のヒーローだ。

私を庇うように立つ紫耀の背中を見て、
自分が大事にされてることを改めて感じる。

でも、

この私の好きな人は

私を好きじゃないんだ。

廉くんがさっき私に突きつけた言葉が
ふと脳裏によぎって

また、息ができない。

私に背中を向けてる紫耀は

私が過呼吸になっていることなど気づかない。

紫耀、

紫耀、

気づいてよ。

私、すっごく苦しいよ。

声にならない言葉は宙を舞って、

背中に地面を感じると同時に
私の意識はプツリと途絶えた。

最後に聞こえたのは

「A！おい！」

と叫ぶ紫耀の声。