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カラオケ店を出て
少し歩いた人通りの多い場所で
私の手を掴んだ彼の足が止まる。
廉「お前さ、どういうつもりなん？」
バッと振り返った廉くんは、
さっき言えなかった質問を私に突きつける。
廉「お前から
紫耀とは違う男物の香水の匂いがするのも、
柚愛に
自分のことを紫耀の友達って言ったのも
本当になにがしたいん？」
廉くんはいつだって直球だなと思う。
思ったことを口に出すって
私にはすごく難しいことだから。
こんな場面だけど、
少しだけ感心してしまう。
「わかんない。」
ほら、
私はいつだって変化球しか投げれない。
廉「ふざけとんのか。」
ふざけてないよ。
そんな否定の言葉は声には出なかった。
合コンの誘いに乗ったのも
少し前の私だったらしなかっただろうし、
いくら紫耀の好きな子だと言っても
昔の私なら、
彼女だと言って相手を牽制したはず。
紫耀との別れを控えた自分が
自分でも分からない。
だって、
ずっと一緒だったんだもん。
紫耀が隣にいない自分を思い描くのは
私には難しい。
廉「お前、知っとんのやろ？」
何が？という言葉は、自然と喉に詰まる。
廉くんがこれから言うことが
分かってしまったから。
私はソレを知ってるけど、
一度だって声に出したことはない。
考えるだけだったら
' 勘違いかもしれない '
という淡い期待を残せるでしょ？
だから、言わないで廉くん。
お願い。
言わないで。
廉「紫耀が柚愛を好きなこと。」
一度発せられた言葉は、
二度と取り消せない。
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作者名：Kipi
| 作成日時：2019年1月7日 9時
