◆*Unhappy Wedding*◆【K.Ninomiya】Part2 (ページ19)

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ﾁｭﾝﾁｭﾝ‥…

田「おはようございます、A様」

「おはようございます…田中さん」

田「ちょうど朝食のご準備が終わりました。…さ、こちらへ」

「ありがとうございます」

長く大きな机の上には

パンケーキにサラダ

香ばしい香りが漂うコーヒーなどがセッティングされていて

やっぱり、お金持ちの朝ご飯は違うんだなぁ…って

つくづく思ってしまう

田「A様、コーヒーは入れ立てでございますので、お気を付けてお飲み下さいませ」

「はい、…ありがとうございます。…頂きます」

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田「…虎太郎様、お元気ですか？」

テキパキと出来立てのパンケーキを綺麗に切り分けながら

田中さんが私に尋ねる

「はい、…元気が良すぎて困るぐらいです笑」

田「それは良かった…お子様はお元気なのが一番ですから笑」

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…虎太郎行方不明事件から、約1週間。

あれから虎太郎は、田中さんの送迎で

遥香達のところへ無事に戻る事が出来た

私は私で、合間を見ながら遥香と連絡を取って

昴や龍達と電話で話したり、メールを送ったりして

彼らとの繋がりを消さないように

彼らの寂しさを少しでも和らげられるように

毎日を大切に…過ごしてる

虎太郎を私達が見つけた事は

私の事情を知っている遥香だけしか知らない

翔ちゃんに打ち明けられないのが…少し、胸が痛むけど

…また近いうちに、全てを話すからね

…待ってて、翔ちゃん…

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「ごちそうさまでした。今日の朝食もとっても美味しかったです」

田「いえ、また朝食のリクエストがございましたらいつでもお申し付け下さい

すぐに厨房の方へお伝え致しますので」

「はい…ありがとうございます」

田「それでは私はこれで。ゆっくりお身体をお休み下さいませ」

「…田中さん！」

ｶﾞﾁｬﾘ、と純銀のドアのぶを握り締める彼は

私の呼び声にクルリと背を振り返る

「…その……あの人は…？…姿が、見えないので…」

私がそう言うと

田中さんは黒縁メガネの奥に潜む優しい瞳をそっと細ませ

ニコッと微笑んだ

田「…社長なら早朝から会社の方へご出勤になられました。

夜にはこちらにお戻りになられますよ」

「……そう、…ですか…」

田「…では」

ﾍﾟｺﾘと頭を下げて

田中さんは黒いスーツを翻し、その場を後にした

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