ミラクル男 ページ10
「ただいま」
和也はリビングのソファーに鞄を投げつけ、不機嫌そうに洗面所へと入って行く。
すでに帰宅していた翔と智はその様子に苦笑いを浮べながら見ていた。
「ああ、もう！」
洗面所から出てきた和也は苛立ったようにそう言うと、ドッカリとソファーに座り込む。
「どうしたの、いったい」
いつものように智は柔らかい口調で和也にそう聞いた。
だが、智も翔も和也の機嫌が悪い原因に予想はついている。
「今日も残業、会社は僕を殺す気です」
確かに、時計の針は午後11時を回った所だった。
ただ、機嫌の悪いのには他の理由がある。
「殺す気って、それは言い過ぎだろう？」
翔は困ったように顔を歪め和也を見た。
そんな翔の言葉を聞いているのかいないのか、携帯の着信が鳴ったのに気づき、和也はメールをチェックする。
智はそんな和也を見て溜息をついた。
「おいおい、スルーかよ」
翔はそう言ったが、別に怒ってる風でもない、慣れたものだとという雰囲気だった。
携帯の画面を見ながら、和也は溜息をつきながらも嬉しそうな顔をする。
「何だ？まだ雅紀は起きてるのか？」
和也の表情から相手が雅紀だと翔は判断した。
「消灯時間過ぎてるって言うのに、馬鹿じゃないですかね」
和也はそう言いながらも、さっきまでの不機嫌さは何処かへ行ってしまってるようだった。
「明日には退院するって決め付けてる、翔くん、大丈夫なんですか？」
「ああ、うん……たぶん大丈夫だと思うよ」
「ふ〜ん」
和也は翔の言葉に、嬉しさが漏れ出している。
智は和也のそんな正直な反応に、温かい笑みを零した。
「何笑ってるんですか！？」
「……カズが可愛いなって思って」
智のその言葉に、和也は頬を真っ赤に染める、その表情が余計に可愛さに拍車をかけ、翔も智もニコニコと笑った。
和也はさすがにその場にいれなくなったのか、鞄を持つとそそくさと２階へと上がっていく。
「ああ、カズ、後でおにぎり持っていってあげる」
和也の後姿に智がそう言うと、和也は手を上げて階段を上がっていった。
「まったくうちの弟は可愛いね」
翔がそう言うと、智もニコニコと笑う。
「雅ちゃんの見舞いに行けなかったのが、よっぽど嫌だったんだろうね」
「雅紀からのメールであんなに表情が変わるなんて、やっぱ雅紀はミラクル男だわ」
智と翔はそんな事を話しながら、楽しそうに笑い合っていた。
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海月(プロフ) - 和春さん、そ言っていただけるとうれしいです。新作が出来たらまたよろしくです (2012年12月23日 23時) (
レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ａｏｉさん、最後まで読んでくださってありがとう。また新作でもよろしくです。 (2012年12月23日 23時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 大好きな風山家、終わってしまうのは悲しいですが新作も楽しみにしてますね！ (2012年12月17日 21時) (レス) id: bbbec70c02 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ナミさん、ありがとうございます。そう言っていただけると書く意欲がわきますよ。新作が出来たらまたよろしくお願いします (2012年12月17日 15時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - お疲れ様でした！！！素晴らしい小説ありがとうございます！！！大好きです>///<新作も楽しみにします>_<本当にありがとうございました！！！ (2012年12月17日 14時) (レス) id: a2fedde7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2012年10月15日 19時
