重篤な状態 ページ45
流水が雅紀に駆け寄ると、雅紀は真っ青な顔をして咳き込んでいた。
呼吸もままならないほど激しい咳をしている。
コートにくるまった咲也を流水に託した雅紀は、フッと儚げに笑みを浮べてその場に崩れるように膝から落ち、まるで人形が横たわるように静かに床に倒れてしまった。
「誰か！ストレッチャー！！」
流水は咲也を抱きしめながら、雅紀の状態を見つつ力の限りそう叫ぶ。
その様子に看護師が走ってきて、咲也と雅紀はストレッチャーに乗せられ、それぞれ診察室へと運ばれていった。
咲也は発熱と喘息の発作を起しており、絶対安静ではあったが、命に別状はなかった。
雅紀の方は一通り診察を終えた医者が眉間にしわを寄せ、厳しい顔つきをしている、手伝いに当たっていた流水も、雅紀の姿を見て深刻な表情を浮かべている。
「肺炎か……まずいな……風山先生のオペは終わってるのか？」
「もう少しだと思います」
内科医の問いに看護師は時計を見ながらそう答えた。
「オペが終わったらすぐにこっちに来るように伝えて、とりあえずＩＣＵに運んでくれ」
雅紀の様態は、肺炎と診断された。
ただ免疫力が低下してる上、肺が通常の半分しか機能していない、いつ何が起こってもおかしくないという重篤な状態。
ＩＣＵに運ばれた雅紀は硬く目を閉じ、時折苦しいのか眉間にしわを寄せては咳き込み、そのたびに痛々しい表情を浮かべる。
「なんとか今の所は落ち着いてる……小川先生、どう見る？」
「はい……この２、３日がやまかと思います……肺の状態がこれ以上悪くなれば、一気に危険な状態に……どっちに転んでもおかしく…ない」
流水は、苦しそうにしている雅紀を見ながらできるだけ冷静にそう言った。
「医者は誰でもそうだが、身内の治療にあたるのは辛いものだ、それが重篤であればなおさら、君と雅紀くんは恋人といったところか？」
「恋人…ではないですよ……今、なり損ないになろうとしてるかもしれません」
そう言った流水は悲しそうに睫毛を伏せ、雅紀を揺れる瞳で見つめる。
「小川先生……担当医になってみるかい？」
内科医の言葉に流水は顔を挙げ、目を見開いた。
「勘違いしないでくれ、君を担当医にするのは、諦めているからじゃない、今の危険な状態を脱したとしてもすぐに退院になるのは難しい、きっといちじるしく肺の機能が低下している、後々のケアが大事になる、だからこそ君に頼みたいと思ったんだが」
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海月(プロフ) - 和春さん、そ言っていただけるとうれしいです。新作が出来たらまたよろしくです (2012年12月23日 23時) (
レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ａｏｉさん、最後まで読んでくださってありがとう。また新作でもよろしくです。 (2012年12月23日 23時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 大好きな風山家、終わってしまうのは悲しいですが新作も楽しみにしてますね！ (2012年12月17日 21時) (レス) id: bbbec70c02 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ナミさん、ありがとうございます。そう言っていただけると書く意欲がわきますよ。新作が出来たらまたよろしくお願いします (2012年12月17日 15時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - お疲れ様でした！！！素晴らしい小説ありがとうございます！！！大好きです>///<新作も楽しみにします>_<本当にありがとうございました！！！ (2012年12月17日 14時) (レス) id: a2fedde7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2012年10月15日 19時
