病院の人は家族 ページ18
そこへ割って入ってきたのは、先程雅紀を見ていた新米の看護師だった。
「新入りさん？」
雅紀はそういい、その看護師の顔を覗き込む。
「やっと落ち着いたのに、身内でもないこんなチャラチャラした人を会わせるなんて」
そう言った新米看護師を見ながら木村看護師長は困ったように笑い、優しくその看護師の肩を叩いた。
「玉川さん、この人はね風山先生の弟さん、貴方もここに勤めてもう半年くらい経つんだから噂くらいは耳にしてるでしょ？天性のナンパ師がいるって」
「木村さ〜ん、酷いよ」
木村の言葉に雅紀はヘラヘラ笑ってそう言う。
玉川看護師の言った言葉など微塵も気にはしてないないようだ。
「風山先生の弟さんって……小さい頃からこの病院に……」
玉川看護師は言ってはいけない事に口にしてまったような顔をして目を伏せ口を噤む。
「そう……玉ちゃんの言うとおり、俺はここに小さい頃からお世話になってる、この木村さんなんてもう母親みたいなものだよ、だからねこの病院の人たちはみんな家族みたいな感じ」
そう言った雅紀を見て、木村は少し悲しいような優しい笑みを浮べていた。
「た、玉ちゃんって」
「玉川さんだから、玉ちゃん、いいあだ名でしょ？」
雅紀に満面の笑顔でそう言われて、玉川は金魚のように口をパクパクと動かしている。
その姿が滑稽で、智も雅紀もクスクスと笑っていた。
「師長！大変です！！」
病棟の奥から走ってきた看護師が慌てたようにそう叫んでいる。
「どうしたの！？」
「咲也くんが！！」
その名前を聞き、雅紀は走り出していた。
智もそれを追うように走る。
廊下を何人もの人間が走っていく中で、女の子の泣き声が聞えてきた。
場所はトイレ……雅紀は足を止めトイレへと向かう、トイレの目の前にる洗面所の水が溢れ、その一帯が水浸しになっている、そしてそこに悲しい瞳をした咲也が立っていた。
「何やってるの！！」
母親が青い顔をして咲也に近づくと手を振り上げ引っぱたこうとしたその時、その手を雅紀が掴んで止めた。
目の前の咲也は目を見開いたまま、それを待っていたかの様にじっとして動かない。
「咲也！水遊びやろうぜ！！」
雅紀はそう言うと、水浸しになっている床に自ら寝転びずぶ濡れになる、床に座って顔を振ると髪の毛の水分が回りに飛び散り、母親にも咲也にもかかる。
その様子が可笑しかったのか、雅紀は大声を立て楽しそうに笑った。
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海月(プロフ) - 和春さん、そ言っていただけるとうれしいです。新作が出来たらまたよろしくです (2012年12月23日 23時) (
レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ａｏｉさん、最後まで読んでくださってありがとう。また新作でもよろしくです。 (2012年12月23日 23時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 大好きな風山家、終わってしまうのは悲しいですが新作も楽しみにしてますね！ (2012年12月17日 21時) (レス) id: bbbec70c02 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ナミさん、ありがとうございます。そう言っていただけると書く意欲がわきますよ。新作が出来たらまたよろしくお願いします (2012年12月17日 15時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - お疲れ様でした！！！素晴らしい小説ありがとうございます！！！大好きです>///<新作も楽しみにします>_<本当にありがとうございました！！！ (2012年12月17日 14時) (レス) id: a2fedde7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2012年10月15日 19時
