全快祝いと言えば ページ15
智は雅紀の体を軽く揺する、すると、雅紀の睫毛が微かに揺れゆっくりと目を開いた。
「……智…くん？…おかえり」
「雅ちゃん、こんな所で寝ると風邪引くよ」
智の言葉に、雅紀は「寝るつもりはなかった」と頭をかいている。
溜息をつきながら智は、テーブルの上にあるイラスト集を見つけて、困ったような表情を浮かべた。
「仕事熱心なのはいいけど、また無理して入院でもしたら意味無いからね」
「は〜い、わかってま〜す」
雅紀は智の言葉を重く受け止めるのが嫌だったのか、軽い口調でそう言う。
智はそんな雅紀の髪の毛をクシャクシャと撫でた。
「今日、打ち合わせ行ってきたよ、星川くんとスガちゃんが雅ちゃんに会いたがってた」
「星川くんって、今回の担当の人でしょ？ 菅原さんは何回か会った事あるから、でも俺あの人ちょっと苦手」
雅紀はそう言いながら、溜息をついている。
「もしかして口説かれたりした？」
智は星川の言葉が気になり、思い切ってそう聞いてみたが、雅紀は目を見開いて、次の瞬間大笑いしていた。
「智くん面白すぎ！この俺が女に口説かれて苦手なんて口にすると思う？……そんなんじゃないよ」
「だって、そんな噂があるみたいだよ」
「ああ、まあ……口説かれた事は口説かれたかな……まあいいじゃんそんな話、ね！……それで個展の話はどんな感じ」
雅紀の言葉を聞きながら、智は上着を脱いでソファーに置き、雅紀の向かえ側に腰をおろして胡坐をかく。
「順調に進んでる……俺の方は今までに書いた未発表の物と、新しく書いた物と合せて30点、雅ちゃんのは全部で10点、そのうち３点は出版社が選んだ物、後の７点はこっちに任せてくれるって、メインがまだだって言ってったけど、無理して新しい物を作らなくても大丈夫だよ」
智はそう言いながら、雅紀の瞳を真っ直ぐに見ていた。
雅紀も、その言葉が智の優しさである事は知っていたが、自分の中で納得いかないのだろう、首を横に振る。
「雅ちゃんなら、絶対にうんって言わないと思ったけど、まあ気楽にやろうよ、ね……さあ、仕事の話はこれで終わり、夕飯の支度しないと、雅ちゃんも大丈夫そうなら手伝ってくれる」
智はそう言って柔らかく笑った。
「もちろん、今日は何にするの？」
「雅ちゃんの全快祝いと言えば」
「から揚げ！！」
そう言った雅紀は満面の笑顔を浮べる。
智もそんな雅紀の笑顔につられるように笑っていた。
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海月(プロフ) - 和春さん、そ言っていただけるとうれしいです。新作が出来たらまたよろしくです (2012年12月23日 23時) (
レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ａｏｉさん、最後まで読んでくださってありがとう。また新作でもよろしくです。 (2012年12月23日 23時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - 大好きな風山家、終わってしまうのは悲しいですが新作も楽しみにしてますね！ (2012年12月17日 21時) (レス) id: bbbec70c02 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - ナミさん、ありがとうございます。そう言っていただけると書く意欲がわきますよ。新作が出来たらまたよろしくお願いします (2012年12月17日 15時) (レス) id: 8fd3529656 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - お疲れ様でした！！！素晴らしい小説ありがとうございます！！！大好きです>///<新作も楽しみにします>_<本当にありがとうございました！！！ (2012年12月17日 14時) (レス) id: a2fedde7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海月
| 作成日時：2012年10月15日 19時
