†第十六話† 混乱" ページ18
「堀部、イトナ･･･か。変わったヤツだったな」
ふと思いだすのは銀色の髪が特徴のアイツ。俺に会いに来たと言って、最後には俺を木に叩きつけて帰っていった。それでもアイツが気になってしまうのは俺と似ているからなのだろうか。
それとも何か別に思うところがあるのか、今はまだ分からなかった。
窓の外を見やると空は晴れていて星がよく見えた。時刻は10時辺りだろうか、虫達のなく声が重なりあって合唱を奏でているようだ。
「･････寝ねぇとな」
昼から食べていない腹がぐぅっと小さく鳴ったが何も食べる気がおきず、もぞもぞと布団をかけ直し、眠るのに最適な体制をとって目を閉じる。
一人が退屈なんてのは思ったことがない、これからもそうだろう。
だから、おやすみって言い合える人がいないのは寂しいことじゃねぇ。
いつものように自分を言い聞かせる。今度はあの夢を見ねぇといいな、なんて思いながらもあの夢を期待してる。そんな相反する気持ちを今も合唱を続ける虫の声で紛らわしながら眠りについた。
＊ ＊ ＊ ＊ (イトナside)
イトナ「･･･河崎、A」
白に触手細胞の活性化をとめる治療を施してもらったのが数分前。痛みが引くのは数時間掛かるらしいが、いつもより痛みが酷くない。逆に何故か気分が高揚して、普段はあまり気にしない生徒のことをぼんやりと考えていた。
これといった特徴のない奴等ばかりが脳裏を過ぎていくなか、思い浮かべたのは俺の名前を必死に聞いてくるアイツ。
ー初めてだ、あんなに必死に名前を聞かれたのは。いつもなら気にも止めなかったのにあの時は何故か体が勝手に動いていた。
今思い返してみると不思議だ。アイツとはプールで会っただけで特に交流はしていない。じゃあ、何故俺はあの時アイツの所へ会いにいった？俺にはアイツにあう理由なんてなかったはずだ。
アイツを俺は今どう思っているんだ･･･？
どう思っている、なんて考えてもうまく思考がまとまらない。仲良くなりたい？な訳ない、俺は友達なんて興味ないんだ。
考えても考えても思考がまとまらず、一度や二度会っただけのヤツにここまで俺の思考を混乱させられるとは思ってもいなかった。
A･･･お前は、一体何なんだ？俺と正反対なお前が俺を気にかける理由が分からない。
わからない、俺はお前が分からないんだ･･･。
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一颯(プロフ) - 同性愛ものには専用のフラグを立ててください。 (2016年4月18日 3時) (
レス) id: 050c8f6d1c (このIDを非表示/違反報告)
クロウサギ(プロフ) - この作品の続編見たいです!! (2015年5月18日 4時) (レス) id: 29761c99ab (このIDを非表示/違反報告)
緋腹 - この話をみてイトナ君が好きになりました！アザス！！(´∀`*) (2015年5月9日 0時) (レス) id: 5e74d9c177 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - 今は………それが、お互いの為だろうからな。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - やはり無理か……………。いや、いいんだ。多分、最初から分かってた事だと思う……………今はまだその時じゃないってことは。あいつ自身が心を開くまでには、時間がかかると思う……………だからゆっくり待とう。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うみしお | 作成日時：2015年4月19日 21時
