†第十五話† 光 ページ17
「・・・何だよ」
殺せんせー「あそこの木、血がついていますよ?何故でしょう?」
殺せんせーが指差す方向にはさっき俺が持たれかかっていたあの木。地球外生物だとはいえ暗がりでよく見分けがつくものだ。
殺せんせー「先生は鼻がききますからね」
「・・・聞いてねぇよ」
殺せんせー「しかしこの血は誰のでしょうか、見たところ血がついてからそれほどたっていないようですが・・・。」
殺せんせーは木の目の前にしゃがみこみ、観察しはじめる。観察・・・というか木のにおいを嗅いでいるように見えたが。
木のにおいを嗅ぐのをやめ、殺せんせーは辺りを犬のように嗅ぎはじめる。
まさか、血液のにおいを嗅いでいたのか・・・?
呆然とつったってる俺をしりめに世話しなく動き続ける殺せんせー。次第に俺の方向を嗅ぎはじめ、これ以上はまずい!と感じた俺は後ろへ方向転換し逃げる。ーいや、逃げたつもりだった。
血が抜けている中いきなり行動したショックで目眩をおこして、正面からその場に倒れこんでしまう。
殺せんせー「にゅやや!?大丈夫ですか、河崎君!・・・って怪我してるじゃないですか!!酷い傷です、早く手当てしないと・・・!」
* * * * *
・・・その後のことはよく覚えていないが、多分殺せんせーが手当てしてくれたのだろう。体に歪に巻かれた包帯が目に入った。
体を起こし辺りを見回す。ごじんまりとした部屋は勉強机とベッド以外に家具がない。
ぱっと見だけでは違う人の部屋だと間違うが、壁に立て掛けてある絵画が紛れもなくここが俺の部屋だと主張していた。
「・・・家、か。どうやって帰ってきたんだろうな」
誰もいない空間の中で俺の声が反響して気持ちがいい。誰もいないこの空間を独り占めできている優越感が胸を占めて一杯になる。
一人は気楽だ。誰にも文句言われねぇし、相手に気を使うこともない。
それでも、一人でいると過去の過ちをふとした瞬間に思い出すことがあり、その度に自分だけがなんで生きているのか、考えてしまう。逃れられない罪悪感に押し潰されそうだった。
酷いときには自分が何なのか分からなくなって、台所から取り出した包丁で自分の腕を切ったこともある。
そんなときいつも光が見えるんだ、淡くていまにも消えちまいそうな光。決まって俺が不安定な時に現れる幻覚、だがその幻覚のおかげで俺は今まで正常だったのかもしれない。
幻覚を見てるのに正常も何をないと思うけどな。
38人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
一颯(プロフ) - 同性愛ものには専用のフラグを立ててください。 (2016年4月18日 3時) (レス) id: 050c8f6d1c (このIDを非表示/違反報告)
クロウサギ(プロフ) - この作品の続編見たいです!! (2015年5月18日 4時) (レス) id: 29761c99ab (このIDを非表示/違反報告)
緋腹 - この話をみてイトナ君が好きになりました!アザス!!(´∀`*) (2015年5月9日 0時) (レス) id: 5e74d9c177 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - 今は………それが、お互いの為だろうからな。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
聖王ダークリンク - やはり無理か……………。いや、いいんだ。多分、最初から分かってた事だと思う……………今はまだその時じゃないってことは。あいつ自身が心を開くまでには、時間がかかると思う……………だからゆっくり待とう。 (2015年4月22日 21時) (レス) id: 964e6546a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うみしお | 作成日時:2015年4月19日 21時