そんな彼女と月々のコイイロ。

〈5〉 ページ27

それからどれくらい経ったんだろう。
車内でほとんど会話をしないまま、もうすぐ新宿寮に着いてしまう所まで来てしまった。

志季「…A」
『は、はいっ』
志季「と呼んでいいか？」
『えっ？……あ、もちろんです。逆にその方が名字より呼ばれ馴れているので…』

びっくりした…。急に呼ばれたし、名前だったし。いつもの癖…かな、そんな感じで咄嗟に返事しちゃったけど。

志季「そうか。ではA、今から俺は仕事がある。だから寮の案内は翼と大に頼んである。何か聞きたいことがあればその二人に聞いてくれ」

翼と大……？あ、SolidSの奥井翼さんと村瀬大さんのことか。確かもう一人のメンバーは世良里津花さんだっけ。
ちゃんと先輩方について予習してきといて良かった〜。

『分かりました。…あの、篁さん』
志季「志季でいい」
『えっと、それじゃあ志季さん。私は、その、どの階に泊まらせていただくのでしょうか…？』

これ大事ね。こっちの寮もグループごとで階が別れてるって聞いてるし。

志季「…それは自分で決めればいい」
『え？』
志季「各階にA用の部屋を用意してある。それぞれ、各グループのメンバーがインテリアをセットしてある。どこか気に入った部屋があったらそこにすればいい」

ええ…マジですか。
ていうかなぜ各階に部屋用意したんだ？

志季「…そろそろ着くぞ」

* * * * *

新宿寮に着き、エントランスに行くと、既に奥村さんと村瀬さんが私たちのことを待っていてくれていた。

大「おかえりなさい」
翼「おかえりー。で、ウワサのあの子は？」
志季「ちゃんと連れて来たぞ。ほら…っておい」
『………』

え、今ですか？今は志季さんの後ろに隠れてる。←

大「…志季には馴れたのか」
翼「恋たちから聞いてはいたけど、本当に筋金入りの人見知りなんだな…」

うっ…すみません…。
でも挨拶はしないと！今後のためにも！！うん！

そろっと志季さんの背後から出てお辞儀して。

『さっ、里宮Aです…っ。一週間、よろしくお願いします』

うん、私にしては上出来上出来。←

翼「こちらこそよろしくね〜。俺は奥村翼。こっちは大ちゃんこと村瀬大。こう見えて、大ちゃんって結構な甘党なんだよ？」
大「余計なことを言うな。…Aだったか。よろしく」

へぇ…甘党なんだ…ギャップが凄いな。←
とにかくお二人とも、とてもいい人みたい。まあ、ツキプロの人はみんな優しいんだろうって前から思ってたけどね。

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