閃輝暗点の夜【イナイレ】 (ページ8)

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幸い部屋のベッドはダブルベッドだったけれど、明王がおれと同じベッドで寝るとは思えんし、おそらく床で寝ろと命令されるだろうな。

おれが使って乱れたままでは申し訳ないということで、明王が眠れるようにおれなりにベッドメイキングをしてシーツを整えた。

明王がシャワーを浴びたあと、おれも着替えと必要な荷物を持ってシャワー室へ向かう。トイレと一体になったそこの鍵を念のためしっかりと閉め、ダボダボのパーカーを脱ぎ捨てた。
目の前の大きな鏡に真っ白い女体が写し出される。

明王に性別を偽る必要は、本当はないのかもしれないけど。理由は無くとも、なんとなくそうしたいと思った。明王に素性が知れることは何となく不都合なのだ。"兎"などと偽名を名乗って、男だと性別を誤魔化して…。

なんでだろ。

…やめよ。こんなこと考えていたら、またギラギラが襲ってきそうだ。

部屋に戻ると明王はベッドの右端に寄って寝転んでいる。

「何でそんな寄ってんの？」

「ア？床で寝てえならそうしろよ。」

「え。おれもベッドで寝ていいんだ。」

さっきから、予想外に明王がいい奴でなんだか拍子が抜ける。でもどうして？エイリア石の影響を受けていない…ということはあり得ない。

…まあいいか。余計なことを言うと本当に床で寝させられそうだから、おれは黙ってベッドの左側に潜り込んだ。