海の泡 (ページ47)

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海人から抱きしめられて

立ち尽くしていた。

でもわたしは……

あの写真が入っている

カバンをそっと触る

《Aの味方だよ》

《Aの為に俺は何が出来る？》

《好きだから背負いたいんだよ》

一気に暖かい時間を思い出す

.

「海人」

「……」

「私もうやっぱり海人を信じられない」

海人の手を優しく離して

向かい合って伝えた

「残りの…返したお金はどこから

どうやって出てきたの？」

海人は黙ってしまった

「私はもう海人といるのが………

怖いの」

逃げないで

ちゃんと2人で話し合って

″一緒に″乗り越えたかった

信じてた人を

信じられなくなるって

これ以上に辛いことは無いんだよ海人

「…そう…だよな」

「小さい時の約束…守れなくてごめん。
………本当にごめん。」

《なくなよ～》

《ぼくがAをずっとまもってあげるから》

立ち去ろうとする海人に

「海人の事、絶対許さないから」

「……」

「だから…最後にお願いがある。」

海人は振り返って私を見た

「次に付き合う子は

泣かさないであげて」

「……」

「そうしたら…

許せるような日がくるかもしれないから」

海人は目に涙を溜めて

声は出ずとも

首を何度も

縦に振って頷いた

.

小さい頃

寂しくて泣いてた時

海人がそばいてくれたから

私には今があって。

たくさん楽しい事も

大好きな感情も

悲しいことも辛いことも………

海人が1番に教えてくれたよ。

「…幸せになれよ。」

さよなら

大好き″だった″人

歩き出した海人の背中に呟いて

私はもう1人の海斗がいる方へ

背中合わせに歩き出した

.