髙木さんと伊野尾さんの短編集3 (ページ3)

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「えっと、伊野尾君。どうしたの？急に。流石に30過ぎのおっさん2人がキスし合うのはまずいっしょ？俺たちもういい大人なんだし。」

と言って遇らう。

伊野尾君はじっとそんなふうに言った俺の顔を見つめる。そして、

「そ、だよね？ふは。ごめん。」

そう言って俯いた。。。。。

え？泣いてる？

in side

多分断られるって分かってた。分かってたけど期待してしまった。別に付き合いたいって思ってるわけじゃない。この先に進みたいって思ってるわけでもない。でも、いつの間にかできてしまった髙木の俺への壁を取っ払いたかった。キスしたらその壁が壊せる気がして。また前みたく一緒に飯行ったり、遊んだりもっとできるような気がしたんだ。断られても笑い飛ばすつもりでいたのに。気が付いたら俺の目から雫が一粒溢れていた。

髙木に気が付かれちゃいけないとさっと手で涙を拭いた。髙木から離れようと立ち上がったその時、腕を引っ張られて生暖かい感触が唇に触れた。目の前には髙木の顔があって、俺はそのまま目を瞑った。それはもう一瞬のモノではなく、だいぶ長くて、俺は時が止まってしまったのではないかと思った。そうしてたらゆっくりそれは離れていった。俺が髙木を見つめると、

「っんで、泣くんだよ。」

って言われて、俺は思わず

「ごめん。」

ってつぶやいた。じっと髙木を見つめて。。。