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その日の仕事の帰り道、また野暮ったくマフラーを巻いた私は海岸沿いのコンビニに寄った。
歯ブラシの替えが欲しかったけれど、スーパーマーケットやドラッグストアに寄るほど元気はなかったし、ちょっと海のほうへ行きたかったから。
歯ブラシを手にしたあと、なんの気なしにふらふらと棚の間を歩いてみる。店の中では、もうクリスマスソングが流れていた。
スナック菓子の置いてある棚を通り過ぎ、ドリンクの冷蔵庫へと突き当たる。右へ曲がろうとしたときに、ペットフードが視界に入った。
レオが好きだった猫用のおやつ。ペースト状の、よくCMをしているやつ。
私は不意に立ち止まり、じっとそのパッケージをながめる。レオは魚介系の味よりとりささみ味が好きだった。
なんとなく、手を伸ばしてとりささみ味のパッケージを手に取り、歯ブラシと一緒に持ってレジに行こうとしたとき、おにぎり売り場の前に見覚えのある姿を見た。
日なたのひと。頭の中に浮んでくる単語。
スーツの上からダウンジャケットを着た丸山さんは、腕を組みながらおにぎりを見ていた。
わかっているのに知らないふりして通り過ぎるのもなんだか気まずいし、かと言ってわざわざ声をかけるほど親しいわけでもない。
どうするべきかすこし迷っていたら、おにぎりの横のおかずコーナーに目を向けた丸山さんの視線が、私に気づいてしまった。
「お疲れ様です。」
あっ、とちいさな声をあげた丸山さんに、せめてもの気持ちで私は先にちいさく頭を下げて挨拶をする。
「お疲れ様です。偶然ですね！」
丸山さんは驚いたように微笑んだ後、あ、そうや。と何か思い出したような顔をした。
「Aさん、紅じゃけとしゃけハラスやったら、どっちのおにぎりがいいと思います？」
突然投げかけられた質問にたじろぐ私に、だけど丸山さんは気にせず続ける。
「どっち買おうか悩んでもうて。しゃけ好きやからどっちも買おう思ったんですけど、最近糖質控えめにしとるから、2コは多いかなあて。」
「じゃあ…紅じゃけで。」
「おっ、ほな紅じゃけにしますね。紅じゃけもうまいすよね。」
機嫌良さそうに紅じゃけのおにぎりを籠に入れる丸山さんを眺めながら、よくしゃべる変わったひとだな、と思った。
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蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、お久しぶりです…！早速コメントくださりありがとうございます。かなり前のお話をまだ読み返していただけてうれしいです…(T . T)少しずつの更新にはなりますがお付き合いいただけると幸いです！ (2022年11月20日 18時) (
レス) id: a5f8e6e331 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - お久しぶりです。数日前に満月の夜は〜を読み返したばかりです(^^)また蒼夢見子さんの新作読めるの嬉しいです♪続きも楽しみにしてます。 (2022年11月20日 6時) (レス) id: 9548b7921c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2022年11月20日 0時
